GoTo 与党一定理解も
野党は対応の遅れ批判

政府が「Go Toトラベル」の一時停止を決めたことについて、与党側からは、感染拡大を防ぐためにやむをえない措置だとして一定の理解を示す意見が出ているのに対し、野党側は「対応の遅れが業界に打撃を与えることになり失策だ」などと批判を強めています。

新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、政府は14日「Go Toトラベル」を12月28日から来年1月11日までの間、全国一斉に運用を停止することを決めました。

これについて、与党側からは自民党の二階幹事長が「これ以上の拡大防止と医療体制を守るためには、日本全体が引き締めて対応するということが必要ではないか。成果を見守っていきたい」と述べたほか、公明党の山口代表も「判断は妥当だ」と評価するなど、一定の理解を示す意見が出ています。

ただ、判断のタイミングについては「決断が遅かった印象は否定できない」という見方や「世論調査で内閣支持率が下落したことも影響したのではないか」という指摘もあります。

これに対し野党側は、立憲民主党の枝野代表が「後手後手の何乗かと言っていいぐらい、後手に回った。結果として停止時期が年末年始のかき入れ時に重なって、観光・飲食業に、より多くの打撃を与えることになり、政府の失策だ」と述べるなど批判を強めています。

記者解説 決定の背景は

「Go Toトラベル」について、政府は14日夜、今月28日から来年1月11日まで全国一斉に一時停止することを決めました。決定の背景についての記者解説です。
Q:政府はこれまで「Go Toトラベル」の停止には消極的だったが、菅総理大臣が一転して全国一斉の一時停止に舵を切ったのはなぜか。

(記者)
感染拡大に歯止めがかからない状況が背景にあります。政府は「勝負の3週間」と位置づけ、対策を強化してきましたが、新規感染者数が3000人を超えた日もあります。

菅総理大臣は「Go Toトラベル」によって感染が広がっている証拠はないと繰り返しており、感染対策と経済の両立を目指す、いわば、肝いりの事業を継続させるため、部分的な見直しを重ねてきました。

ただ専門家からは、対策をさらに強化するよう求める意見も出され、菅総理大臣としては、経済の影響を懸念しながらも、活動が低下する年末年始に集中的な対策を講じるとして、今回の「苦渋の決断」に至ったものとみられます。

Q:「Go Toトラベル」については、今月のNHKの世論調査で「いったん停止すべき」が79%でした。

(記者)
内閣支持率も低下するなどしていましたので、与党内からは、世論の動向が判断を後押ししたのではないかという見方も出ています。

与党側からは、妥当な判断だという受け止めが出ているのに対し、野党側は、後手の対応だなどと批判を強めており、16日の閉会中審査などで、政府の対応をただす方針です。

Q:今後、政府はどう対応していくのか。

(記者)
来月11日以降の対応について、加藤官房長官は「その時の状況を見て判断するとしか言えない」と述べており、地域の実情を見ながら判断する方針です。

本格的な冬を迎える中、年末年始には医療体制が手薄になりがちなこともあり、政府としては、飲食店での対策の徹底を呼びかけるなどして、何としても感染拡大を抑え込みたい考えです。

一方で、与党内では、感染の状況が収まらず、経済への影響も大きくなれば、衆議院の解散・総選挙の時期にも影響を与えるという指摘も出始めており、菅総理大臣としては、引き続き、難しいかじ取りを迫られることになります。