Go Toで北海道「活用し
旅行するかは国民の判断」

新型コロナウイルスの感染確認が12日、全国で過去最多となりました。
西村経済再生担当大臣は、記者会見で、「今の段階で、緊急事態宣言を出したり、『Go Toトラベル』で、どこかを除外したりする状況ではないが、このような状況が続けば、医療機関の病床がひっ迫してくるので、強い危機感を持っている。都道府県と連携して対策を強化し、正確な情報を伝えて、感染防止策を徹底してもらいたい」と述べました。

一方、記者団が、政府として、『Go Toトラベル』を活用して感染者が増えている北海道に行くことを推奨するのかと質問したのに対し、「支援策としては用意しているが、活用して旅行するかどうかは国民の判断だ。陽性者が多数報告されているので、現実には、旅行や宿泊をする人は減ってきていると聞いている」と述べました。

北海道 鈴木知事“週末は感染対策の徹底に協力を”

北海道の鈴木知事が記者会見で、「道内での感染拡大は非常に顕著になっており、ススキノの接待を伴う飲食店などでの感染の連鎖が、全道へと拡大している状況にある。非常に憂慮すべき事態だ」と指摘しました。

そのうえで、この週末は、体調が悪い場合は外出を控えることや、札幌市の繁華街・ススキノでは、午後10時以降、酒を提供する店を利用しないこと、そして、食事は静かに楽しみ、会話するときはマスクを着けることなど、特別措置法に基づいて要請している感染対策を徹底するよう、道民や事業者に協力を呼びかけました。

そして、鈴木知事は「一人一人が注意しなければ感染は防げない。皆さんの命と健康を守るための戦いであり、この戦いに打ち勝つため、協力をしてほしい」と述べました。

また、繁華街・ススキノでの営業時間などの短縮要請に関連して、鈴木知事は、ススキノの午後10時時点の人出が、ことし9月1日までの1週間と比べて、今月12日までの1週間は平均でおよそ44%減少しているとしたうえで、札幌市と連携して飲食店などを戸別訪問するなど、事業者に一層の協力を求めていく考えを示しました。

道と市がススキノ訪問 営業短縮など協力要請

ススキノでは、これまでにクラスター=感染者の集団が25件、発生していて、道は感染拡大を抑えようと、今月27日まで、接待を伴う飲食店やバーなどには営業時間を、居酒屋などには酒を提供する時間を、それぞれ午後10時までに短縮するよう呼びかけています。

この呼びかけに応じてもらおうと、13日夜、道と市の担当者20人がおよそ200店舗を訪れ、チラシを配るなどして午後10時以降の営業自粛を直接、要請しました。

道の対策本部の今西昌志企業活動支援担当課長は、「飲食店の方々にとっては苦しい中での営業時間短縮の要請と理解しているが、できるだけ早くまた明るいススキノに戻せるよう協力してほしい」と話していました。

飲食店以外の業種からは支援求める声

ススキノでは、道の要請を受け、酒の提供時間の短縮などを受け入れた飲食店には20万円の協力支援金が支給されますが、飲食店以外の業種の店からは、売り上げ落ち込みへの困惑や支援を求める声が聞かれます。

このうち、ススキノ中心部に店を構える生花店「フルール・ド・凛花」は、開店祝いや装飾用の花を飲食店に届けています。

店では先月下旬ごろから、感染拡大に伴って注文のキャンセルが相次ぎ、飲食店が営業を短縮する中、例年の3割ほどに注文数がとどまる日もあるということです。

店主の小田美智子さんは「ススキノには飲食店以外にも、さまざまな店やサービス業があり、行政にはそういう店の支援も考えてほしい」と話していました。

一方、ボウリング場「ディノスボウルノルベサ」では、ボールの消毒など、感染対策を徹底しているとしていますが、感染拡大で、平日は去年の1割程度の客しか訪れていないといいます。

飲食と合わせて利用する客が多い繁華街にあるボウリング場では、飲食店の営業短縮の影響が大きいと訴えています。

ボウリング場の運営会社「スガイディノス」の三浦尚久社長は「ススキノに来るサラリーマンや学生の団体が、食事後の2次会などで遊ぶ店なので、影響がまともにでています。一定の我慢と辛抱、感染対策による環境維持は、私たちの責任だと思いますが、国や自治体で、業界に対するバックアップ、セーフティーネットを、もう少し整えてほしい」と話していました。

京都市長「Go Toキャンペーン」梅雨までの延長要請

京都市の門川市長は13日、西村経済再生担当大臣と面会し新型コロナウイルス対策をめぐって意見を交わしました。

この中で、門川市長は、「Go Toキャンペーン」について、「京都の伝統ある旅館や料理店が危機的な状況となる中、ひと息つくことができ、ありがたい」と述べ、来年の大型連休にとどまらず、梅雨の時期まで、継続してほしいと要請しました。

これに対し、西村大臣は、「キャンペーン自体が感染拡大の原因になっているとはみていないが、感染者が増えているので、事業者にも利用者にも、もう一段、感染防止策を徹底してもらいたい」と述べました。

そして、キャンペーンの継続については、「足元の感染状況や地域経済の状況を見ながら、できるかぎり、皆さんが未来に向かってやっていけるよう議論したい」と述べ、感染状況などを見極めながら検討する考えを示しました。

田村厚労相「感染拡大地域には専門家派遣も」

田村厚生労働大臣は記者団に「危機感を持って対応しなければならず、感染が拡大している地域には専門家を送るなどして、都道府県と連携して対応していく」と述べ、厚生労働省のクラスター班の専門家を派遣するなど、都道府県と連携して対応にあたる考えを示しました。

また、田村大臣は「外国人のコミュニティや、大学など若い人たちの間で起こるクラスターを防ぐため、しっかりと情報を伝えるとともに、国民に換気を行い『3密』を避けることなどを改めてお願いしていく」と述べました。

厚生労働省は、保健師や看護師の応援態勢を構築するなど、対策を強化することにしています。

加藤官房長官「感染状況や業績に応じ柔軟に支援」

総理大臣官邸で開かれた、政府の成長戦略会議には、加藤官房長官や西村経済再生担当大臣らが出席しました。

この中で、加藤官房長官は、「新型コロナウイルスの感染状況については、最大限の警戒をもって対処する必要がある。感染が拡大している地域の状況や企業の業績に応じて、事業者や労働者に対し、柔軟な支援を行っていく」と述べました。

そのうえで、雇用の維持を図りながら、円滑な労働力の移動を支援するとして、在職したまま出向できる環境の整備や、職業訓練の強化などを進める考えを強調しました。

そして、「ウィズコロナの時代を通じて、新しい働き方が広がっており、テレワークに対応した就業ルールの明確化や、フリーランスの人が安心して働けるルールの整備などを進めていく」と述べました。