ちゃんポスト”病院に
「内密出産の実施控えて」

いわゆる「赤ちゃんポスト」を運営する熊本市の病院が独自に導入した、匿名での出産を受け入れ、子どもが、あとから親を知ることができる制度について、市は「法律に抵触する可能性を否定できない」などとして実施を控えるよう求めました。

いわゆる「赤ちゃんポスト」を運営する熊本市西区の慈恵病院は、匿名での出産を受け入れて子どもが成長したあとに親を知ることができる「内密出産制度」を去年導入しました。

現時点で利用者はいませんが、病院に慎重な対応を求めてきた熊本市は、制度について、母親の氏名を記載せずに戸籍を作成することや、子どもの出自を知る権利の面で問題がないか、国に照会し、その回答結果を公表しました。

回答では、戸籍については仮定の事実に基づく回答は困難だとしたほか、出自を知る権利については病院の統廃合などを想定した身元情報の引き継ぎなどで行政指導の必要性を求めています。

これを受けて市は、法律に抵触する可能性を否定することは困難なうえ、身元情報の管理などが適切に措置されているとは言えないとして、制度の実施を控えるよう病院側に文書で要請しました。

慈恵病院の蓮田健副院長は「病院が断ってしまったら自宅出産をしてしまうだろうという危険を感じたら、そのときは受け入れたい。そのつど、市や国に相談しながら運用していきたい」と話していました。