盆の帰省「自粛は求め
ないけれど」「慎重に」

新型コロナウイルスの感染が全国で拡大する中でのお盆の時期の帰省について、県をまたぐ移動を自粛するよう要請する自治体がある一方、要請はせずに感染予防の徹底を呼びかける自治体もあります。

山梨 長崎知事「帰省するか、もう1度、家族で相談を」

山梨県の長崎知事は4日の定例記者会見で、県内で新型コロナウイルスに感染した人が3日までの1週間で19人に上るなど、急増していることを踏まえ「緊張感を持って警戒すべき状況にある」と述べました。

また、以前はほとんどなかった、感染が確認された人の濃厚接触者が感染しているケースが増加していることから「親族間や職場内での感染の連鎖が起きている」と指摘しました。

そのうえで、お盆の期間の帰省について、長崎知事は「帰省を否定するものではないが、帰省するかどうかはリスクを考えたうえで、もう1度、家族で相談してほしい。高齢者や持病がある人など重症化リスクの高い人が家族にいる場合は帰省について慎重の上に慎重を重ねて検討してほしい」と述べ特に家族に高齢者や持病がある人がいる場合は、帰省を取りやめるなど慎重に判断するよう求めました。

また、帰省する場合にも感染症対策を徹底したうえで、感染リスクが高い大人数の会食は避けることや、外食する場合には対策が取られた店舗を利用することなどを呼びかけました。

埼玉 大野知事「帰省はしてほしいが近場で過ごすこと前提に」

埼玉県の大野知事は4日の定例会見で、県内の新型コロナウイルスの感染者が、3日までの1週間で419人と、前の週と比べて110人増えたことについて「大変強い危機感を持っている」と述べました。

そして、2日までの1か月間で県内の感染者のおよそ半数を占める、30代以下の若い世代に対して、手洗いの徹底やマスクの着用など感染予防策の徹底を改めて呼びかけました。

そのうえで、夏休みの過ごし方については「帰省をしても大人数で長時間会食することは避けてほしい。県内に帰省はしてほしいが、近場で過ごすことを前提に考えてほしい」と述べ、埼玉県に帰省した場合、都内への観光を控えるなど遠出をしないよう改めて求めました。

また先月、埼玉県内の新型コロナウイルスの患者が、入院先の病院から一時行方不明になったことについては「大変残念なことだ。入院を拒否したり病院を抜け出る人がいる場合は、強制の『措置』に持っていくつもりだ」と述べ、今後、治療の必要な患者が入院を拒否するなどした場合は、県として感染症法に基づき、患者を強制的に入院させることもありうるとの認識を示しました。

栃木 福田知事「一律に自粛を求めることはできかねる」

4日に栃木県庁で開かれた新型コロナウイルスの対策本部会議では、感染拡大を防ぐため、お盆の時期を前に県民などに対し、どのように注意を呼びかけるかについて協議が行われました。

会議のあと福田知事は会見を開き、県をまたぐ移動について「お盆の時期の帰省は家族を思い、ふるさとを訪ねる特別なもので、一律に自粛を求めることはできかねる」と述べ、県をまたぐ移動の自粛は要請しない考えを示しました。

そのうえで県民に対し、体調が悪い場合は帰省を控えるよう家庭で十分に話し合うほか、大人数での宴会や飲み会はクラスター発生のリスクも高いので自粛し、時間も2時間以内にしてほしいと呼びかけました。

また、福田知事は「家庭内での感染も増えているので、家でも換気を徹底し、できるかぎりマスクをつけるなどしてほしい。子どもたちは短い夏休みになってしまうが、元気に過ごしてほしい」と述べました。

和歌山 仁坂知事「きょうの時点でやめましょうといわない」

和歌山県内では先月から新型コロナウイルスの感染者が急増していて、6月末の時点では64人だったのに対し、3日までの数は169人と2倍以上に増えています。

こうした中、4日開かれた定例の記者会見で仁坂知事はお盆の時期の帰省について「和歌山県は毎日、状況が変わっているが、きょうの時点で帰省をやめましょうというつもりはない」と述べました。

そのうえで「安全な生活や外出をしてほしい」と話し、帰省先で多くの人が集まって会食をすることを控えるなど感染症対策を徹底するよう呼びかけました。

山形 吉村知事「感染拡大地域からの帰省は慎重に」

4日、吉村知事は定例の会見で、お盆の時期の帰省について「家族や親戚に体調が悪いときの移動を控えることや、感染が拡大している地域からの帰省は慎重にしていただくよう伝えてほしい。また、県内から感染が拡大している地域への帰省や旅行もできるだけ控えてほしい」と県民に呼びかけました。

青森 三村知事「帰省される方々を温かい心で受け入れて」

青森県の三村知事は4日開かれた定例の記者会見で、お盆の時期の県外からの帰省について、今週、開かれる予定の政府の分科会での議論を注視するとしたうえで、「現状では一律に自粛をお願いするようなことはできるかぎり避けたい」と述べ、県民に対しても「帰省される方々を温かい心で受け入れてもらいたい」と呼びかけました。

そのうえで「注意して帰ってきてくれると信じているし、そういう人たちに対し『よく帰ってきた。ふるさと青森はこうして頑張っているから、君たちも戻っても頑張れ』と、新型コロナの流行前にごく普通にしていたように家族・親戚・友達と接してもらいたい」とことばを詰まらせながら話しました。

そして最後に「健康や経済などいろいろ奪われたが、いろんな嫌なことがあって、心まで奪われてもいいのか。お盆はそれぞれのふるさとで、いろんな意味で心を取り戻す期間になればいいと思う」と語りました。