分教員採用試験汚職事件
県教委元幹部に賠償命じる

大分県の教員採用試験の汚職事件をめぐり、不合格とされた人たちへの賠償金を、県教育委員会の元幹部などに負担させるべきだと市民グループが訴えた裁判で、最高裁判所は元幹部に2680万円余りを支払わせるよう命じ、判決が確定しました。

平成20年に発覚した教員採用試験をめぐる汚職事件の後、大分県は点数の改ざんで不合格とされた人たちに、9000万円余りを賠償し、元幹部など事件の当事者から一部、弁済を受けましたが、大分市の市民グループは残りもすべて当事者に負担させるべきだと県を訴えました。

福岡高等裁判所が収賄の罪で有罪となった教育委員会の元幹部に955万円余りを支払わせるよう命じ、最高裁では自己破産するなどして、支払えないほかの元幹部2人と債務を分割したのが妥当かどうかが争われました。

14日の判決で最高裁第3小法廷の林景一裁判長は「複数の公務員が共同して故意に違法に他人に加えた損害を、国や地方公共団体が賠償した場合、公務員らは連帯して弁済しなければいけない債務を負う」と指摘しました。

そのうえで、福岡高裁が債務を分割して算定したのは適切ではないとして判決を取り消し、元幹部に2680万円余りを支払わせるよう命じ、判決が確定しました。

瀬戸弁護士「最低限の勝訴」

決の後、東京 霞が関で開かれた会見で、市民グループ側の代理人の瀬戸久夫弁護士は「裁判のいちばんの目的は、口利きや点数操作といった不正の全容を明らかにすることだったが、実現しなかったので、判決はもろ手をあげて喜べるものではない。しかし、元幹部に負担させる額が2600万円余りで確定したのは、最低限の勝訴だと思う」と話していました。

大分県教委「改めておわび」

大分県教育委員会の工藤利明教育長は「教員採用を巡って、教育行政に対する信頼を失墜させたことについて改めておわびいたします。最終的な司法判断が示され、これにのっとって手続きを進めてまいります。今後も決して事件の教訓を風化させることなく、教育行政の適正な執行、改革に努めてまいります」というコメントを出しました。