問看護の事業所80%
「感染防ぐ衛生用品不足」

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、全国での事業所では、休業した際の利用者の引き継ぎ先も決まっておらず、訪問看護事業をどう継続していくかが課題となっています。

調査は、日本訪問看護財団が今月下旬にかけて全国のおよそ2700の事業所などを対象に行い、424の訪問看護ステーションについて回答を得ました。

この中では、すでに27か所で利用者の感染や疑いの事例が確認された一方で、80%を超える事業所が感染を防ぐ衛生用品が「足りていない」と答えました。

また、52%がことし1月以降、訪問看護の回数が「全体的に減った」と回答しました。

主な理由として、感染を警戒する「利用者や家族の意思」をあげ、「リハビリ」や「医療的ケア」などの訪問が減ったとしています。

さらに休業せざるを得ない場合の利用者の引き継ぎ先について尋ねたところ、「決めている」は13%にとどまり、「決めていない」が39%、「検討中」が44%と、訪問看護事業をどう継続していくかが課題となっている現状が明らかになりました。

日本訪問看護財団は「感染への現場の危機感は高まっており、健康観察は電話などで行いたいという回答も多かった。事業を継続していくうえで、地域の事業所どうし連携を急ぐ必要がある」としています。

大型連休中は訪問縮小の事業所も

新型コロナウイルスの感染リスクを減らすため、訪問看護ステーションの中には、やむをえず大型連休中の訪問を縮小する事業所も出ています。

神奈川県伊勢原市の訪問看護ステーション「宝命訪問看護リハビリステーション」では、これまで訪問の際には利用者に電話で発熱などの症状がないか確認し、マスクや手袋に加え、手に入らない防護服の代わりに市販のシャワーキャップやレインコートを身に着けて対策を取ってきました。

しかし、職員が掛け持ちで勤めている別の福祉施設で感染者が確認されて、この職員が自宅待機となったほか、利用者の家族の職場で感染者が出たケースもあり、感染リスクの高まりを感じていました。

事業所で感染が広がり、休業になった場合に利用者を引き継げる事業所は見つかっておらず、感染リスクを少しでも下げるため、今月29日から来月6日までの大型連休中の訪問は、医療的ケアが必要な障害のある利用者などに限定し、ふだんの3分の1ほどに減らすことを決めました。

期間中に利用者の体調が悪くなったときは24時間、相談を受け付ける緊急連絡先に電話してもらうことにしています。金谷益子所長は「どの事業所も日頃から限られた人数で対応していて、休業になれば引き継ぎ先を見つけるのも難しく、利用者の家族に負担がかかってしまう。医療現場はどこも大変だが、在宅で療養する人たちを支える訪問看護にも支援の目を向けてもらいたい」と話していました。