急事態宣言」可能に
する法案 衆院で可決

新型コロナウイルスのさらなる感染拡大に備え、「緊急事態宣言」を可能にする法案は、衆議院本会議で採決が行われた結果、自民・公明両党や、立憲民主党などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。

新型コロナウイルスの感染がさらに拡大した場合に備え、総理大臣が「緊急事態宣言」を行い、都道府県知事が外出の自粛や学校の休校などの要請や指示を行うことを可能にするための法案は、11日、衆議院内閣委員会で審議入りし、質疑と採決の結果、賛成多数で可決されました。

また、委員会では、▽緊急事態宣言にあたっては、緊急でやむをえない場合を除き、国会に事前に報告し、その後の状況も適時、報告することや、▽施設利用の制限などを要請する場合には、経済的不利益を受ける者への配慮を十分検討するなどとした付帯決議も、賛成多数で可決されました。

法案は、12日午後に開かれた衆議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党のほか、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。

自民 森山氏「与野党連携し対応することが大事」

自民党の森山国会対策委員長は記者団に対し、「安倍総理大臣も、国会の実情はよく理解し、森法務大臣の発言にもいろいろなことを感じていたと思う。任命権者として、しかるべき注意をしたことは意義あることだ。叱責があったことを肝に銘じて、大臣として頑張ってほしい」と述べました。

また新型コロナウイルスのさらなる感染拡大に備え、「緊急事態宣言」を可能にする法案について、「WHOもパンデミックという懸念を持っている。国民の健康と経済に与える影響は想像を絶するものがあると心配しており、与野党が連携し、立法府として、しっかりとした対応をすることが、いまいちばん大事だ」と述べました。

立民 安住氏「引き続き森法相の辞任求める」

立憲民主党の安住国会対策委員長は会派の代議士会で、「森法務大臣はみずからの発言が事実と違うということで謝罪をしたが、安倍総理大臣からは明確な謝罪が無く、誠に残念だ。あす衆議院法務委員会と参議院予算委員会で、森大臣に対して発言の真意をただし、引き続き辞任を求めていく」と述べました。

維新 馬場氏「野党側はいつもの審議妨害」

日本維新の会の馬場幹事長は党の代議士会で、「立憲民主党など野党側のいつもの審議妨害によって、衆議院本会議が始まる時間が大幅に遅れた。森法務大臣の国会答弁を理由に野党側が審議を止めた理由は理解できるが、なぜ審議を再開することを決めたのか。意味が分からないので公の場で説明してほしい」と述べました。

立民 山尾氏「覚悟をもって反対」

立憲民主党の山尾志桜里衆議院議員は、衆議院本会議での採決で、党で決定した、法案に賛成するとした方針に反して反対しました。山尾氏は記者団に対し、「『緊急事態宣言』は民主主義の基盤を傷つける状態を作る私権の制限を伴うため、国会の承認が必要だ。非立憲主義的な法案に党として賛成したのは残念だ。反対するにあたっては、覚悟と自覚を持って行動したので、今後どうすべきかは深く考えたい」と述べました。

 13日成立で合意

新型コロナウイルスのさらなる感染拡大に備え、「緊急事態宣言」を可能にする法案をめぐって、自民党と立憲民主党の参議院国会対策委員長が会談し、あす参議院の内閣委員会で質疑を行ったうえで、本会議で採決し、成立させることで合意しました。

新型コロナウイルスのさらなる感染拡大に備え、「緊急事態宣言」を可能にする法案は、12日衆議院本会議で可決され、参議院に送られましたが、参議院内閣委員会で予定されていた審議は、十分な時間が確保できないとして、見送られました。

これを受けて、自民党の末松参議院国会対策委員長と、立憲民主党の芝参議院国会対策委員長が会談し、13日参議院の内閣委員会で、法案の趣旨説明と質疑を行ったうえで、採決し、その後、直ちに本会議でも採決して、成立させることで合意しました。

また、立憲民主党は、障害がある人や、学校が休校になった保護者へのさらなる配慮などを政府に求める付帯決議も採決したい考えで、与野党の間で調整が行われる見通しです。