法相「検察官が逃げた」
答弁 政界の反応

森法務大臣は今月9日の参議院予算委員会での東京高等検察庁の検事長の定年延長をめぐる質疑で「東日本大震災の際に、福島県いわき市から、市民が避難していない中で検察官が最初に逃げた。身柄拘束をしている十数人を理由なく釈放した」などと答弁し、11日の委員会で、答弁は個人の見解で不適当だったとして撤回しました。

政界の反応です。

菅官房長官「法務行政の答弁にはしっかり答えている」

菅官房長官は午前の記者会見で、「森法務大臣は、みずからの発言を撤回する趣旨の説明をすると同時に、法務行政に対する国会の答弁にはしっかりと答えてきている。いずれにせよ、閣僚は緊張感を持って対応する必要がある」と述べました。

自民 森山氏「何としても解決の糸口を」

自民党の森山国会対策委員長は記者団に対し、「きょうは極めて大事な審議日程もあるので、野党の理解もいただかなければならない。どういう解決方法があるか対応を考えていきたい。新型コロナウイルス感染症の問題は、間違いのない対応が大事で、それは野党も理解していると思うので、何としても解決の糸口を見いだしたい」と述べました。

そのうえで、森法務大臣の答弁について、「当時のことをもう1回よく振り返り、いろいろなことを検証する必要がある」と述べました。

公明 北側氏 「なぜあんな答弁をしたのか」

公明党の北側副代表は記者会見で「なぜあんな答弁をしたのか、脈絡がよく分からない。そもそも予算委員会は法務大臣が個人的見解を述べる場ではなく、反省してしっかり職責を果たしてもらいたい」と述べました。

また、新型コロナウイルスのさらなる感染拡大に備え「緊急事態宣言」を可能にする法案について、「緊急を要することなので、ほかの問題とは切り離して、これだけは予定どおり成立させられるよう野党に協力をお願いしたい」と述べました。

立民 福山氏「検察愚弄の責任大きい」

立憲民主党の福山幹事長は、臨時に開いた党の参議院議員総会で、「森法務大臣が言うように、東日本大震災の際に検察官が国民よりも先に逃げ、拘束していた十数人を理由無く釈放したというのが事実なら、当時の検察官は処分を受けているはずだ。事実関係をまず明らかにすべきであり、事実でないなら、検察を愚弄する発言をした責任は大きい。事態をどう収拾するかは政府・与党が考えることだ」と述べました。

立民 安住氏「政治責任を取るべき」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し、「法務大臣が自分の部下とも言える組織を、震災当時の事実無根な話を持ち出して中傷している。単におわびしたのでは済まされず、政治責任を取るべきだ」と述べました。