院予算委 新型ウイルス
対応めぐり論戦

国会では2日から、参議院予算委員会で、新年度予算案の実質的な審議が始まり、新型コロナウイルスへの対応をめぐって、論戦が行われました。

新年度予算案が、先週衆議院を通過したことを受け、国会では2日から参議院予算委員会で審議が始まり、午前中は野党側の質疑が行われました。

立憲民主党の福山幹事長は、臨時休校に関連して「先月25日に示された基本方針は単なる紙ではない。全国の医療関係者、自治体、保健所、みな、当面の基本だと思っていたが、とたんにイベントを自粛しろとなり、次の日には学校の一斉休業となった。専門家の意見も聞いておらず『なんでだ』という話になる」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「臨時休業の要請については、直接専門家の意見をうかがっていないが、専門家の知見では、これから1、2週間が瀬戸際になるとの見解が示されている」と述べました。
そのうえで、「学校での感染拡大を防ぎ新たなクラスターの発生を何としても食い止めるために判断した。事前の準備にかける時間がなかったはそのとおりで、大変負担をかけることは本当に申し訳ないと思っている。自治体や学校現場に協力していただきたい」と述べ改めて理解を求めました。

また、臨時休校に伴う学童保育の活用について、学童保育の施設は狭く、子どもの感染のリスクが高まるのではないかと指摘されたのに対し、加藤厚生労働大臣は「人数が増えればリスクが高まる。学校の空き教室を貸していただき、教員も、基本的には学童保育の方でお手伝いをしてもらう。中には、それとは別に学校で子どもを預かる、さまざまな取り組みが工夫して行われている」と述べました。

一方、午前中の委員会では、国のマスクの備蓄などをめぐって政府側が答弁に手間取り、審議が中断する場面がありました。

萩生田文科相「危機感の中から一斉休校優先することを了解」

萩生田文部科学大臣は、参議院予算委員会で、「一定期間、地方自治体と調整した方が、混乱を最小限に抑えられるという思いもあったが、きょう時点で患者が発生していない自治体であっても、あすどうなるかわからないという危機感の中から、一斉休校を優先することを了解した。さまざまな課題にはしっかり政府として対応していく」と述べ、理解を求めました。

立民 福山氏「危機感も具体性もなし」

立憲民主党の福山幹事長は記者団に対し、「国民の不安の声を質問でぶつけたが、安倍総理大臣の答弁は場当たり的で危機感がなく、具体性がなかった。非常に残念で、憤りに似た思いだ」と述べました。

また、政府が検討している立法措置について、「われわれは新型インフルエンザ等対策特別措置法を準用すればよいと何度も言ってきたが、政府は一顧だにしなかった。ただ、内容次第では立法措置に協力を惜しむつもりはない」と述べました。

午後の委員会では

新年度予算案の審議が始まった参議院予算委員会では、午後も新型コロナウイルスの感染拡大を受けた政府の対応などをめぐって論戦が行われました。

立憲民主党の蓮舫参議院幹事長は、すべての乗客乗員が下船したクルーズ船への対応について「政府の対応は先手先手ではなかったという認識はあるか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「今までに経験のない事態だったが、中国からの帰国を支援したチャーター便での知見や、船内での感染拡大防止が有効に行えていたという専門家の指摘も踏まえて下船の判断をしたもので適切だったと考えている。新型コロナウイルスは未知の部分が多く、もちろん完璧ではないが、知見を生かし最大限の対応をしてきたと考えている」と述べました。

また、加藤厚生労働大臣は、1日午後11時の時点で下船した人のうち、42人が発熱などの症状を訴えていることを明らかにしました。

国民民主党の足立信也氏は「『新型インフルエンザ等対策特別措置法』を適用していれば、緊急事態にでき、外出の自粛、休校、公費負担などが法律上可能になるのに、なぜ適用しなかったのか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「新型コロナウイルス感染症は、原因となる病原体が特定されていることから、緊急事態宣言も含めて『特別措置法』に基づく対応は困難だ。やるべきことは『特措法』にほぼ書き込んであり、新型コロナウイルス感染症を対象とすることが可能になるよう修正することが望ましい」と述べ、野党側にも協力を求めました。

また、加藤大臣は「医療機関の待合室は感染のリスクが高いと指摘されているので、できるだけ行かなくて済むよう電話による再診やオンラインの診療や調剤を活用できるようにして積極的な活用を呼びかけていきたい」と述べました。

国民民主党の浜口誠氏は大規模なイベントの自粛などに関連して、「民間事業者の方にチケットの払い戻しなどの実損が出ている。政府として何もしないというのはいかがか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「政府として個別の損害をそのまま補償することはできないが、中小・小規模事業者の声を直接聞く仕組みを作り、強力な資金繰り支援をはじめ、地域経済に与える影響に配慮してしっかり対策を講じていく」と述べ、来週10日をめどに第2弾の緊急対応策を取りまとめる考えを重ねて示しました。

また、感染拡大の影響で、業績が悪化した企業に支給する「雇用調整助成金」について、加藤大臣は「リーマンショックの時は、助成率は中小企業が5分の4、大企業が3分の2だったが、こうした事例を踏まえてしっかり検討したい。雇用保険に入っていない被用者の方々も対象としながら制度をつくりたい」と述べました。