法相の不信任決議案と
予算委員長の解任決議案否決

国会では野党側が提出した森法務大臣に対する不信任決議案と、衆議院予算委員長の解任決議案が否決されました。与党側は新年度予算案の27日の採決を見送り、28日衆議院を通過させる方針で、年度内成立が確実になる見通しです。

衆議院本会議では、まず、野党側が自民党の棚橋予算委員長は委員会運営が政府寄りで不公正だとして提出した解任決議案の審議が行われました。

続いて、森法務大臣が東京高等検察庁の検事長の定年を延長したのは、検察の独立性、ひいては三権分立を踏みにじる暴挙だとして、野党側が提出した不信任決議案の審議が行われました。

立憲民主党などの会派の今井雅人氏は趣旨弁明で「森法務大臣は、この国の三権分立をぶち壊し、この国を息苦しい統制国家にしようとしていることが分からないのか。法治主義の先頭に立つべき法務大臣としての資格は全くない」と述べました。

これに対し自民党の藤井比早之氏は討論で「重大かつ複雑、困難な事件の捜査・公判に対応するため検察官の勤務延長を行うことに何ら問題はない。森法務大臣の不信任を求める理由は皆無だ」と反論しました。

決議案は、それぞれ採決が行われた結果、いずれも自民・公明両党と日本維新の会などの反対多数で否決されました。

このあと、自民党の森山国会対策委員長と、立憲民主党の安住国会対策委員長が国会内で会談し、新年度予算案の27日の採決は見送り、28日採決することや、4月以降、新型コロナウイルスへの対応をめぐって審議を行うことなどで合意しました。

与党側は、28日予算委員会と本会議で予算案を可決し、衆議院を通過させる方針で、予算案の年度内成立が確実になる見通しです。

森法相「国民の安全安心と正義を実現するために全力」

森法務大臣は、国会内で記者団に対し「不信任決議案の否決により、これまでの私の法務行政への取り組みや、国会での答弁の正当性、そして、真摯(しんし)な姿勢が理解していただけたものと思っている。今後も国会審議などに真摯に取り組み、法務大臣として国民の安全安心と正義を実現するために全力で働きたい」と述べました。

棚橋予算委員長「さらに公平中立な運営に努めていく」

棚橋衆議院予算委員長は、国会内で記者団に対し、「これまで私なりに与野党に公平公正な委員会運営に努めてきたが、その結果、解任決議が否決されたと理解している。このことを肝に銘じ、さらに公平中立な運営に努めていく」と述べました。

そのうえで「新型コロナウイルス対策、経済の下振れリスクなど、国民の間に多くの不安があることを直視しながら、予算が本年度内にきちんと通ることが大事だという声にきちんと耳を傾けなければいけない」と述べました。

自民 森山氏「あす新年度予算案の採決を行う」

自民党の森山国会対策委員長は記者団に対し「あす新年度予算案の採決を行う。きょう採決できればよかったが、与野党が合意することが政治的に大きな意味を持つ。例年の審議時間とほぼ変わらないので、野党にも理解をいただけたのだと思う」と述べました。

また「森法務大臣も棚橋予算委員長も努力しており、2つの決議案が否決されたので、引き続き頑張ってほしい」と述べました。

さらに「新型コロナウイルスの問題は大事な課題で、適時適切に予算委員会などを開催し立法府としての責任を果たす」と述べ、今後も審議を行う考えを示しました。

立民 安住氏「われわれの意思表示に大義」

立憲民主党の安住国会対策委員長は記者団に対し「もう少し数があれば正義が通ったが、残念だ。森法務大臣は三権分立の越えてはならない一線を越え、政治が司法をコントロールしようとした。われわれの意思表示に大義はあった。棚橋委員長に対しても、明確に意思表示をする必要があり、意義があった」と述べました。

また、新年度予算案について「われわれは審議は不十分で、質疑を続行したいと伝えたが、新型コロナウイルスへの政府の対応について随時報告を求めるため、4月以降に予算委員会を開くことで森山氏と合意したので採決にも合意した」と述べました。