子化が止まらない
出生数0の町では…

ことし1年間に生まれた子どもの数を示す「出生数」は全国で86万人余りと、はじめて90万人を下回る見通しとなったことが、厚生労働省のまとめでわかりました。全国の市町村の中には去年、子どもが1人も生まれなかったところも複数あります。

山梨県の南西部にある人口1000人余りの早川町もその1つです。少子高齢化が進み、65歳以上の人は全体の45%にのぼっています。平成元年以降で出生数が「0」となったのは平成23年以来2度目です。

主要産業の衰退や町内に高校がないことなどで若者が流出したことが大きな要因とみられています。

町内にはもともと小学校が6校ありましたが、閉校が相次ぎ、いまは2校だけとなっています。

その1つ、早川北小学校は全校児童が20人。児童が1人しかいない学年もあります。小学校に併設されている保育所は8年前に閉鎖されました。

それでも町は教育の質を落としてはならないと、町が単独で教員を採用し、各学年ごとに担任を配置するなど、少人数教育に力を入れています。

早川北小学校の深澤順美校長は「生徒の数が少ないとチーム制のスポーツができないなど影響はあるが、少人数だからこそできるきめ細かい授業を強みにしている」と話していました。

小学5年生の女子児童は「人数は少ないけれど、学年を越えて仲よくなるので、寂しいと感じることはありません」と話していました。

また町では子どもの減少に歯止めを掛けようと、子育て支援を拡充し、外から移住者を呼び込む政策も力を入れています。

小中学校の問題集などの教材費や給食費、それに中学校を卒業するまでの医療費を無料にしたほか、家族での移住者には町営住宅や空き家を利用できるよう支援しています。

平成24年以降に合わせて22世帯が移住し、ことしは移住してきた世帯から子どもが2人生まれました。

早川町の辻一幸町長は「特にわれわれのような地域は、子育て支援の拡充や移住促進などの政策を1歩1歩やっていかないと地域の存続が厳しい時代になってくると思う。自然の中に価値を見いだしながら、働きに出たり子育てできるという存在感のある町を目指していきたい」と話しています。