会閉会で会見「新たな国
づくりの先に憲法改正」首相

安倍総理大臣は臨時国会の閉会にあたって記者会見し、全世代型社会保障改革などに全力をあげる考えを強調したうえで「国のかたちに関わる大胆な改革に挑戦し、新たな国づくりを力強く進めていく先には憲法改正がある」と述べました。

この中で安倍総理大臣は臨時国会で承認された日米の新たな貿易協定について「コメを関税削減の対象から完全に除外し、日本の自動車に追加関税をかけないことをトランプ大統領から確認した。同時に日本の幅広い工業品でアメリカの関税が削減されるなど、まさに国益にかなう結果が得られた」と評価しました。

また農林水産物の輸出拡大に向けて、政策の立案や国内手続きを一元的に担う新たな組織を設ける法律が成立したことを踏まえ、スピード感を持って各種の施策に取り組むほか、中小・小規模事業者に対する補助金を活用して生産性革命を進め、賃上げの流れを一層力強いものとする考えを示しました。

そして先週閣議決定した、事業規模26兆円程度の新たな経済対策に、相次ぐ自然災害を受けた水害対策の充実や、すべての小中学生に1人1台のパソコンなどを配布する方針を盛り込んだことに触れたうえで「令和の時代に、安心と成長の未来を切りひらくためのものだ」と強調しました。

さらに安倍総理大臣は全世代型社会保障改革について「人生100年時代の到来をチャンスとして前向きにとらえながら、働き方の変化を中心に据えて、年金、医療、介護、社会保障全般にわたる改革を進める。現役世代の負担上昇を抑えながら、すべての世代が安心できる社会保障制度を構想したい」と述べました。

そのうえで、来年の東京オリンピック・パラリンピックと2025年の大阪・関西万博に触れ「令和の時代を迎えた日本も躍動感にみなぎっている。しっかりと未来を見据えながら、国のかたちに関わる大胆な改革に挑戦し、新たな国づくりを力強く進めていく。その先には憲法改正がある」と述べました。

「憲法改正 必ずや私の手で成し遂げたい」

安倍総理大臣は、来年の通常国会での憲法論議について「憲法審査会の場で、与野党の枠を超えた活発な議論を通じて、令和の時代にふさわしい憲法改正原案の策定を加速していきたい」と述べました。

そして、安倍総理大臣は「憲法改正は、自民党立党以来の党是であり、選挙で約束したことを実行していくことが政治の責任だ。憲法改正は決してたやすい道ではないが、必ずや私の手で成し遂げていきたい」と述べ、憲法改正の実現に強い意欲を示しました。

桜を見る会「私自身の責任で見直し行う」

また「桜を見る会」について、安倍総理大臣は「国民から、さまざまな批判があることは十分に承知している。公費を使う以上、これまでの運用を大いに反省し、今後、私自身の責任において、招待基準の明確化や招待プロセスの透明化を検討するほか、予算や招待人数も含めて、全般的な見直しを幅広く意見を聞きながら行っていく」と述べました。

また、招待者名簿について「内閣府が、あらかじめ定められた手続きにのっとって適正に廃棄している。さまざまな指摘を踏まえ、菅官房長官が内閣府に確認させた結果、データの復元も不可能との報告を受けたと承知している」と述べました。

「信問う時と考えれば 解散断行にちゅうちょない」

一方、安倍総理大臣は、衆議院の解散について「この夏の参議院選挙が終わったばかりで、『参議院選挙で約束したことを実行しなければならない』ということで頭がいっぱいであり、そのことに集中をしている」と述べました。

そのうえで「今後、国民の負託に応えていくうえで、国民の信を問うべき時がきたと考えれば、衆議院の解散・総選挙を断行することにちゅうちょはない。そうしたことに関わりはなく、政府としては立皇嗣の礼を含め、即位に関わる一連の儀式をつつがなく行っていく。そのことに大きな責任を持っており、万全を期していく」と述べました。

「中国の前向きな対応 強く求めていく」

安倍総理大臣は日中関係について「日中両国は、アジアや世界の平和や安定、繁栄に、ともに大きな責任を有している。習近平国家主席を国賓として招くことに、さまざまな声があることは承知しているが、新たな令和の時代の始まりにあたり、この責任を果たすべきとの認識を、習近平主席と共有し、その責任を果たすとの意思を明確に示していくことが、今のアジアの状況や国際社会からも求められている」と述べました。

そのうえで安倍総理大臣は「中国との間には、尖閣諸島周辺海域における領海侵入や、日本人拘束事案など、さまざまな懸案が存在している。こうした懸案については、これまでも習主席に直接提起してきている。引き続き、主張すべきはしっかりと主張し、中国の前向きな対応を強く求めていく」と述べました。

中東情勢「可能なかぎり外交努力を尽くしたい」

安倍総理大臣は中東情勢をめぐり「わが国は、中東地域に原油輸入の8割以上を依存しており、エネルギー安全保障の観点から中東地域の平和と安定の維持と、船舶の航行安全の確保は極めて重要であることは明らかだ」と述べました。

そのうえで、イランのロウハニ大統領の日本訪問について「現在、調整中だ。アメリカと同盟関係があり、イランとも長年良好な関係を維持してきた日本ならではのかじ取りが国際社会からも求められている。これからも粘り強く対話を行うことで、地域の緊張緩和や情勢の安定化に向けて可能なかぎりの外交努力を尽くしていきたい」と述べました。

また、中東地域への自衛隊派遣について「わが国に関係する船舶の安全確保のために、独自の取り組みを行っていくという考えのもと、情報収集態勢を強化するために、自衛隊の活用に関する具体的な検討を行っている。自民・公明両党の議論を十分に踏まえ、政府としての対応を決めていきたい」と述べました。