港「すべての要求が
受け入れられるまで戦う」

香港政府トップの林鄭月娥行政長官が条例改正案の撤回を発表したことについて、大規模なデモ行進を主催してきた民主派の団体が声明を出しました。

この中では「行政長官は1つの要求を受け入れることで現在の問題が解決できると考えているのなら大きな間違いだ」として強く批判しています。

そのうえで、「われわれの普通選挙を勝ち取るという決意はより強固なものになっており、すべての要求が受け入れられるまで戦い続ける」として、抗議活動を続ける考えを示しています。

民主派団体幹部「撤回遅すぎる」 抗議続行の構え

香港の民主派団体「香港衆志」の幹部の黄之鋒氏は訪問先の台湾で記者会見し、条例の改正案の撤回は「遅すぎる」と批判したうえで、抗議活動を通して警察による暴力など人権弾圧の実態が明らかになったと指摘しました。

また、「中国政府は、香港政府に条例の改正案を撤回させることで、私たちの抗議活動をやめさせようとしている」と指摘しました。

そのうえで、「香港が民主主義と自由を手に入れるまで、香港の人たちは抗議活動を決してやめない」と述べ、政府に対する要求のすべてが受け入れられるまで抗議活動を続けると強調しました。

民主派議員「対応遅く足りなさすぎる」

容疑者の身柄を中国本土にも引き渡せるようにする条例の改正案の撤回を発表した林鄭月娥行政長官のテレビ演説を受けて、議会に当たる立法会の民主派の議員らが記者会見し、「対応は遅すぎ、足りなさすぎる」などとして批判しました。

この中で民主派の議員らは、「この3か月で市民が受けた傷は深く、警察の暴力に関心が集まり、1000人以上が逮捕され、100人以上が起訴された。市民の怒りは収まっていない」などと述べ、対応は遅すぎたと批判しました。

また、「要求は5つあり、ほかの4つには触れていない。最も重要なのは行政長官の直接選挙だ」と述べ、香港政府側に対し、残る要求にも応えるよう求めました。

親中派議員は一定の評価

一方、親中派の議員らも記者会見し、「対応は遅かったかもしれないが、対応しないよりはよい」と述べ、一定の評価をしました。

議員らは、「混乱の影響で、香港の経済は悪くなってきており、一刻も早く社会の分裂を修復すべきだ」と指摘したうえで、「これからは違法な暴力行為をやめてほしい。市民には暴力を支持しないようお願いしたい」と述べ、市民に過激な抗議活動への反対を呼びかけました。