バニアン」自由な
立ち入り定める条例制定へ

「千葉時代」を意味する「チバニアン」として、地球の歴史の一時代を代表する「国際標準地」への登録を目指している千葉県市原市の地層をめぐり、申請に反対する研究者が土地の賃借権を得ている問題で、市は研究のための立ち入りを正当な理由なく妨げてはならないことを定める条例を制定し、登録が進むよう取り組むことになりました。

茨城大学や国立極地研究所などのグループは千葉県市原市の地球の磁場が逆転した痕跡が残るおよそ77万年前の地層を、地球の一時代を代表する「国際標準地」に登録するよう、おととし国際学会に申請手続きを開始し、登録されればこの時代を「チバニアン」=千葉時代と名付けるとしています。

登録には「研究のための自由な立ち入り」が条件となっていますが、申請に反対する別の研究者が地層を含む土地の賃借権を地権者から得ていたことが分かり、立ち入りが制限されるおそれが懸念されています。

これについて市原市は24日会見を開き、調査研究を促進するため、土地の所有者や賃借権者らに対し、研究者が立ち入ることを正当な理由なく妨げてはならないことを定める条例制定を目指す考えを示しました。

立ち入りを妨げた場合、5万円以下の過料を科すという罰則規定も定める方針です。

市原市の小出市長は「研究に弊害が生じかねない事態に対応するため踏み切った。地権者らに不利にならないよう進めたい」と話しています。

今後、市は9月の議会に条例案を提出するとともに、反対する研究者らにも理解を求めていきたいとしています。

研究グループ「見守りたい」

これについて国際学会への申請を進めている研究グループの代表で茨城大学の岡田誠教授は「条例化の検討はあくまでも市原市としての判断だが申請の条件となっている研究のための自由な出入りを保証する一つの手立てになると思う。地元の人をはじめ多くの人が納得できる形になるよう見守りたい」としています。

申請反対の研究者「信じられない」

申請に反対し地層を含む土地の賃借権を地権者から得ている茨城大学の楡井久名誉教授は「申請にはねつ造など誤ったデータが使われていると考えているが、それを市として解明せず、条例を検討するとは信じられない。法的な根拠があるかどうかも含め、まず内容を精査したい」と話しています。