嘗祭「殿下個人のお考え
国政に影響与えない」副長官

皇位継承に伴う伝統儀式「大嘗祭(だいじょうさい)」の費用をめぐり、秋篠宮さまは、天皇の生活費などにあたる予算から支出されるべきだという考えを示されました。これについて、西村官房副長官は、前例を踏襲し、皇室関連の公的な予算から支出する方針を維持する考えを示しました。

秋篠宮さまは記者会見で、来年の皇位継承に伴う伝統儀式、「大嘗祭」の費用に、皇室関連の公的な予算である「宮廷費」が充てられることについて、儀式の宗教色を踏まえ、天皇の生活費などにあたる「内廷費」から支出されるべきだという考えを示されました。

これについて、西村官房副長官は閣議のあとの記者会見で、「平成の代替わりに伴い行われた式典は、現行の憲法下で十分な検討が行われたうえで挙行されたもので、大嘗祭の費用の在り方についても平成のときを踏襲し、国費で支弁することがすでに閣議で了解されている」と述べました。

そのうえで、「費用の在り方は、これまでも宮内庁から殿下にご説明していると承知しており、改めてなんらかの対応をとることは考えていない」と述べ、現在の方針を維持する考えを示しました。

また西村副長官は、秋篠宮さまのご発言について、「あくまで殿下ご自身の個人としてのお考えを述べられたもので、国政に影響を与えるものではないということから、憲法上の問題は生じない」と述べました。

大嘗祭の費用をめぐっては、平成の代替わりの際、政府が宮廷費から支出したことに対し、政教分離を定めた憲法に違反するなどとして各地で訴訟が起こされましたが、いずれも訴えられた国などが勝訴しています。

官房長官「国民主権や政教分離の趣旨に反しない」

菅官房長官は、衆議院内閣委員会で、共産党から、「大嘗祭など皇太子さまの即位に伴う来年の儀式は、現行憲法の国民主権や政教分離の原則と相いれないのではないのか」と問われ、「平成の代替わりに伴って行われた式典は現行憲法のもと、十分な検討が行われて挙行されたものであり、憲法の趣旨と皇室の伝統などを尊重するものだ。今回行われる式典については、これらの基本的な考え方や内容を踏襲することとしており憲法の定める国民主権や政教分離の趣旨に反するものではない」と述べました。