界全体が米中を懸念」
APEC首脳宣言出せず閉幕

パプアニューギニアで開かれていたAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議は、中国がアメリカを念頭に保護主義の風潮を批判するなど両国の意見の対立が際立ち、初めて首脳宣言を出せないまま閉幕するという異例の事態となりました。

17日から2日間開かれていたAPECの首脳会議は、日本時間の18日午後、閉幕しました。

米中の貿易摩擦が激しさを増す中、首脳会議では、自由貿易の重要性などで各国が協調姿勢を示せるかが焦点でした。

しかし、会議の席上、中国の習近平国家主席は、アメリカを念頭に「保護主義や一国主義の風潮が見られ、世界経済の不確定性が増している」と批判しました。

これに対して、アメリカも、中国が不当に自国に有利な貿易政策を行っているなどと主張して鋭く対立したということです。

この結果、1993年に首脳会議が始まって以来初めて、首脳宣言を出せないまま会議は閉幕しました。

パプアニューギニアが議長の権限で成果をまとめる議長声明を出す見通しですが、米中の対立が際立ち、参加国の意見の相違が浮き彫りになりました。

閉幕後、パプアニューギニアのオニール首相は記者団に対し、「世界全体が米中の貿易摩擦を懸念している」と述べて、両国が話し合って解決するよう求めました。

菅官房長官 ”米中と意思疎通図る”

これについて、菅官房長官は19日午前の記者会見で「最終的には、議長であるパプアニューギニア政府の責任において、議長声明として取りまとめることが適切だという判断に至った。それ以上のコメントは、議長声明の準備中なので控えたい」と述べました。

そのうえで、「世界第1位と第2位の経済大国である米中両国が、世界経済の安定的な成長と発展につながる関係を構築することは、アジアだけでなく世界に向けて極めて重要だ。わが国としては、引き続き米中の貿易関係の動向を注視しつつ、両国との意思疎通を図りながら適切に対応していきたい」と述べました。