新年度シリーズ③子育て支援はどう変わる?
- 2024年04月07日
新年度を迎え、暮らしの変化などを伝えるシリーズの3回目。テーマは子育て支援です。新潟県は空き家などの中古住宅を子育てがしやすいように改装した会社に最大300万円の補助金を支払う「にいがた安心こむすび住宅」という制度を4月から始めました。なぜ空き家を子育て世帯向けに改修するのか、現場を取材しました。(新潟放送局 記者 草野大貴)
進む人口減少 空き家対策も課題
三条市で空き家対策を担当する地域経営課です。
空き家を手放したい所有者と、空き家の利用を希望する人の間をつなぐ「空き家バンク」を運営したり、セミナーを開いたりして空き家対策を進めています。市内の空き家の数は約1500軒。市は対策にあたっています。
山屋係長
地域に空き家が増えると管理できない物件が増えるということになります。その結果、老朽化して危険な建物になってしまったり敷地内の樹木が外に飛び出したりして近隣への悪影響も出てきます。そして住宅街の中で人が住んでない物件が増えれば「地域の活力」が低下することにつながります。
新潟県内では少子高齢化を背景に空き家が増え続けています。国の統計によれば県内には平成30年の時点で14万軒以上の空き家があり、住居全体に占める空き家の割合は14.7%と全国平均を上回っています。
三条市では空き家バンクを通じて2023年度に38軒の空き家に利用者が見つかりましたが、担当者によりますと若い世代や子育て世代の購入は少ないといいます。
山屋係長
どうしても新築の物件と比べますと、屋根の雨漏りがあったり最近の家と違いまして耐震、断熱というところが弱い部分がありますので、高性能な住宅を求められる方には、なかなか空き家というのは選んでいただけない、そういう難点はあると思います。
「価格安い」「間取り広い」空き家にメリットも
一方、空き家などの中古住宅は価格が安く、広い間取りの家も多いというメリットがあります。
新潟県は工夫次第で子育てに向いた住宅になると考えました。
子育て世帯に広くて安価な住宅を用意できれば、空き家も解決できると考えたのです。
そこで県が打ち出したのが「にいがた安心こむすび住宅」です。
子どもがけがをしないように柔らかい床材を使ったり、割れにくい窓ガラスを使ったりするなど子育てに優しい改装をした住宅販売会社に最大300万円の補助金を支払うことにしました。
補助金の分だけ販売価格を差し引くことで1000万円以下で販売される可能性もあるとしています。
県は今年度、こうした住宅が50軒ほど供給されると見込んでいます。
平松課長補佐
だいたい1000万円台で(住宅販売会社が)取得して売る価格帯になると、そこから300万円引かれるわけなので1000万円を切る。消費者にとってはだいぶインパクトがある価格になるのかなと。子どもの成長過程に合わせて広い家がほしくなるタイミングがあるんですけども、昔、大家族だった家が空き家になっているので、ちょっと手を入れるだけで非常に子育てに適した住宅が提供可能だと思っています。
新潟県内で生まれた子どもの数は令和4年は1万1000人あまりと、平成24年と比べて6000人、率にして33%減っています。県全体の人口は令和6年3月の時点で211万5500人あまりで平成26年比で20万人も減っています。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2050年の県内人口は、さらに60万人ほど減って152万人になるとされています。
県や市町村が打ち出す新たな政策に加え、男性の育児休暇の取得などすでにある仕組みを組み合わせることで、社会全体で子育て世帯を応援する環境を整えることができるかが焦点になります。