新潟の地価 利便性向上で上昇地点も
- 2024年03月28日
国土交通省が2024年1月1日時点の土地の価格「地価」を公表しました。新潟県内は29年連続で下落となった一方、新潟駅周辺の再開発などで上昇した所もあり、下落幅は3年連続で縮小しました。(新潟放送局 記者 油布彩那)
県内29年連続で下落も下落幅は縮小
国土交通省は土地取り引きの目安にするため毎年1月1日時点の土地の価格を公表していて、
県内では434の地点が対象となりました
それによりますと住宅地や商業地などを合わせた地価の平均はマイナス0点5%と29年連続で下落しましたが、去年より多い118の地点で上昇し、県全体の下落幅は3年連続で縮小しました。
背景にはJR新潟駅周辺の再開発が進み市中心部で利便性の向上が期待されることや、
新型コロナウイルスの感染が落ち着き経済活動が持ち直したことなどがあります。
用途別では
▼住宅地でマイナス0点5%▼商業地でマイナス0点9%となった一方、
▼工業地はプラス1点3%と6年連続で上昇しました。
地点別で最も高かったのは
▼住宅地が新潟市中央区水道町2丁目で
去年より4000円高い1平方メートルあたり17万2000円でした。
▼去年まで33年連続で最も高かった新潟市中央区中大畑町は
1平方メートルあたり16万8000円で、去年から1000円下落しました。
中大畑町の地価が下がった背景としては、間口が狭く、活用しにくい土地があることなどが指摘されています。
▼住宅地で上昇幅が最も大きかったのは新潟市中央区新和4丁目で去年より6000円高い、1平方メートルあたり11万7000円でした。周囲に商業施設が集まっていることや、来年春の開業を目指すJR上所駅への期待感などから需要が高まっているとみられています。
▼商業地は37年連続でJR新潟駅前の新潟市中央区東大通1丁目で、
去年より2万7000円高い1平方メートルあたり58万4000円でした。
このほか外国人観光客に人気のスキー場などがある妙高市では下落幅が縮小した地域があるほか、
湯沢町でも下落から横ばいに転じた地域があり、観光客の回復が地価にも影響を与えているとみられています。
専門家 ”人口減”で地価下落も
全国の土地の価格は全用途の平均で3年続けて上昇していますが、県内では下落が続いています。
調査に携わった新潟県不動産鑑定士協会の飯田英範 地価調査委員長はこうした背景について次にように指摘しています。
飯田 地価調査委員長
新潟県の場合、人口減少率が高いという構造的な要因が大きく作用している。人口が減少すると空き家や空き地などが増え、需要と供給のバランスが崩れて地価の下落につながる。
また飯田さんによれば新潟市で地価が上昇する一方、それ以外では下落傾向にあり二極化の傾向が鮮明になっています。さらに、ことし1月の能登半島地震の影響について飯田さんはこう話しています。
飯田 地価調査委員長
被災した地域では、取引が停滞したり需要が減退したりすることが考えられる。今後の復旧の状況や市場での需給の動向を注視していく必要がある。
そのうえで飯田さんは県内の地価の動向を考えるうえで、日銀の金融政策や海外情勢などをポイントとして挙げています。