新潟 記録的大雨から1年 現地はいま
- 2023年08月04日
新潟県村上市や関川村などで大きな被害が出た2022年8月の記録的な大雨から1年がたちました。被災した人たちはどのような思いで日々過ごしているのか、現地の復興は進んでいるのか取材しました。
(新潟放送局 記者 草野大貴、藤井凱大)※記事の内容は放送した時点のものです。
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新潟県で線状降水帯が発生
去年8月3日から4日にかけて新潟県に前線が停滞し、下越で線状降水帯が発生。
村上市や関川村などで1時間に100ミリを超える猛烈な雨が断続的に降り、関川村の下関では県内の観測史上最大となる1時間に149ミリの猛烈な雨を観測しました。
この大雨で道路などのインフラは大きな被害を受けJR米坂線の一部の区間では、いまも再開のめどがたっていません。
県内で浸水や倒壊の被害を受けた建物は2400以上。
村上市の小岩内地区では土石流が発生して住宅1棟が全壊したほか4棟が一部損壊、1人が大けがをしました。
小岩内地区の人々は
記録的な大雨から1年。村上市の仮設住宅にはいまも90人以上が暮らしています。
松本区長
ずっと降りっぱなしでね。雷もものすごかったですからね。すごいこと起きたんだなと思いましたよ。これで流木がどこからきたんだと思いましたからね。
山から流れ下る沢で大規模な土石流が発生。
地区の住宅に土砂が流れこみましたが、かつての「羽越水害」の教訓が避難につながり住民の命を守ることができました。
松本区長
この沢は氾濫するとどういうふうになるかっていうのがみんな教訓にありましたからね。下にいてと危ないとかそういう教訓がありましたからすぐ上のほうに避難するとかね。それが一番だと思います。
大雨から1年。土砂や流木の撤去など仮復旧は完了しましたが、地区に出されている避難指示はいまも解除されていません。村上市はこの雨のシーズンで被害が出ないことを見極めた上で早ければ秋にも解除の時期を決める方針です。
しかし被害が大きかった6世帯はすでに集落を離れました。
住民どうしのつながりをどう保っていくか。期待しているのが地区で行われてきた収穫祭です。
地区の伝統行事で、男性たちが焼きそばや豚汁を作ったり獅子舞を披露したりしてきました。
秋までに避難指示が解除されれば祭りを開き、大雨で地区を離れた人やボランティアとして支援してくれた人たちも招待したいと松本さんは考えています。
松本区長
今まで通りになれば一番いいんですけどね。そうなってくれれば一番いいですけどね。
再建への一歩を踏み出した旅館
関川村の旅館「喜久屋」です。
去年の大雨で目の前を流れる荒川が増水し、離れの土台になっていた堤防が流されました。
堤防は新たに土や砂を積んで作り直されましたが被害を受けた建物は取り壊さざるを得ない状況です。
この旅館を経営する小山泰喜さん。当時、あまりの状況に立ち尽くしたといいます。
小山さん
いま砂がみんな敷き詰められてるんですけど地面がない状態にえぐられられた状態でした。
川の音が気になってたので見に行った時になくなってたので、まさか堤防なくなってるとは思わなかったので、もうぼう然とするというか
大雨による被害で客室の数は8部屋から4部屋に。
再建を進めるため常連客のすすめでクラウドファンディングを始めた小山さん。
幸いおよそ2か月で想定を大幅に超える650万円あまりが寄せられました。
観光シーズンの夏が訪れ、なじみの利用客も再び戻ってきています。
利用客
自分の家、別荘みたいに思っている。
利用客
いつも同じ部屋に泊まるんですけど、そこの部屋は変わらずやってくれて来られて本当によかったな。ずっと通いたい宿なので、ぜひ頑張ってもらいたいです。
小山さんは2024年の夏ごろまでには被害を受けた建物を建て直し、経営を安定させるめどをつけたいと考えています。
小山さん
お出迎えできるの本当に本当に改めてありがたいことだなと思いましたね。顔を見ていろいろ電話だけでなくね、顔見て話していただけるとまた違いますしね。本当に頑張りたいと思います。