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新潟 移転の事業所に賃料 人件費補助 「にいがた2㎞」活性化

令和4年度は16社が進出 本社機能も移転なるか?
  • 2023年03月28日

新潟市が市中心部の活性化を目指して進めているプロジェクト「にいがた2km」の補助制度を利用して新潟駅前のオフィスビルに入居した会社の経営者たちが参加する報告会が3月、開かれました。出席した経営トップは「魚沼市出身なので新潟で仕事がしたかった」「新潟発で全国にサービスを普及させたい」など抱負を語りました。市の行っている補助や今後の展望は?
(新潟放送局 野口恭平 記者)

放送した動画はこちら

新潟駅徒歩1分 新ビルに進出の企業が報告会

報告会が行われたのは新潟駅の万代口に去年9月竣工したオフィスビル。地上9階建て、賃料は月1坪1万6000円とのことです。

新潟市は新潟駅前や万代地区、それに古町地区を結ぶ大通りなどを「にいがた2km」と名付け、この地区に進出した企業に賃料などを補助する制度(デジタル・イノベーション企業立地促進補助金)を設けています。

制度を利用してこのオフィスビルに入居した4つの会社の経営者が3月28日に集まり報告会を開きました。

4社は東京や大阪に本社を置き、IT関連のサービスや就職活動の支援、住宅設備の修理サービスなどを手がけていて、4月以降オフィスを稼働させます。

新潟発全国や世界を!

報告会では4社の経営トップがそれぞれビジネスの抱負や新潟へ進出した理由を語りました。

政平秀樹 社長

システム開発の「アイシス」政平秀樹 社長 
システム開発を生業にしていて、お客様のシステム開発や自社アプリの開発販売、最近では採用管理ツールやメタバースの開発にも取り組んでいます。地方進出は、新潟は福岡に次ぐ二か所目です。新卒の採用やUターン経験者も採用し最終的に40人の採用を目指しています。
技術者を中心にシステム開発を続け、微力ながら新潟を盛り上げていきたいです。
新潟は東京からも1時間近くで来ることができるし、福岡も便利ですが飛行機より新幹線のほうが通いやすい点が魅力です。

坂口彰義社長

ITコンサルティングの「イーグロース」坂口彰義社長
セキュリティ関連のコンサルを行っています。もともと魚沼市出身で新潟の進出をいつかやりたいと思っていましたが、新潟県や新潟市から魅力的な誘致提案をしてもらい背中を押された形で来ることができました。新潟で年間50~60人の採用をしたいです。今後、海外展開も予定していて日本側の窓口を新潟で展開しようと思っています。「新潟から世界に発信、世界の仕事を新潟で」をコンセプトにしていきたいです。仕事は東京や大阪の方がありますが、新潟は地元に帰ってきたいという人のポテンシャルも多いので、良い人材が眠っていると思います。

杉岡充敏社長

専門学校など向け就職活動サービスの「グッドニュース」杉岡充敏社長
専門学校に通ってる生徒に就職活動や専門実習に活用できるアプリを開発しています。新潟には職業教育をリードしている学校法人が多数あるので、そうした法人と連携し、生徒らが卒業後にこの道を選んで良かったと思ってもらえるような情報を発信していきたいです。オフィスを活用して、北欧やASEANの専門学校などとつないで、新潟の専門学校生が世界とつながれる拠点にもしていきたいです。私が職業教育やキャリア教育に人生をかけて取り組みたいと思った刺激をくれた人が、(南魚沼市にある)青木酒造の「鶴齢」がすごく好きな人だったので新潟には縁を感じています。地元で就職する人を増やしていきたいです。

住宅設備関連の「ホームサーブ」得永泰裕社長
サブスク(定額料金)の住宅設備の修理サービスを手がけています。自宅のトイレやキッチンの水漏れが起きた際、電話をして地域の修理業者を派遣します。新潟にはコールセンターを開設し5月中旬に運営を開始、50人の採用を予定しています。コールセンターは中核業務なので客の声を聞きサービスに反映させて、新潟中心に会社を発展させていきます。新潟からサービスを全国に波及させていきたいです。進出にあたってはいろいろな自治体をまわりましたが、市役所や市長のリーダーシップ、サポートが魅力でした。東京から2時間弱で食事と酒もおいしいので、新潟と東京本社との関係も作っていきたいです。

補助制度は 賃料年間5000万円も

新潟市では新潟市中心部の活性化をするためにこの地域への進出企業に対して特に手厚い補助を行っています。「7年以上の事業継続」や「令和4年4月以降竣工の施設」など条件がありますが、補助メニュー内容としては以下の通りです。内容は令和5年度も継続するということです。

補助メニュー 新潟市HPより

一方、新潟市では「本社」の誘致も続けていますが、令和2年度以降誘致に成功していません。

このため、令和5年度は、上記の「にいがた2㎞型」メニューをベースに本社機能誘致にも力を入れることにしています。例えば、年間最大5000万円の賃料補助を「5年間」に増やすなど、支援を強化します。

報告会に参加した企業のオフィス

詳しくは新潟市企業誘致課「025-226-1689」まで。

外部環境や地域の強み生かせるか

新潟市によりますと、補助制度を活用して新潟市に誘致した企業は令和3年度が8社だったのが令和4年度は16社に増えているということです。

こうした背景には行政が支援を強化していることもありますが、企業関係者を取材してよく聞くのが「採用環境」です。

例えば、福岡や札幌、仙台などはすでに地方進出を考える企業が多く入っていて、人材獲得の競争が激化しているということです。

一方、新潟の場合は良く悪くも「これから」で、専門学校なども多いため採用の競争はそこまで激しくないそうです。

これに加えて、▼飛行機でなく新幹線で移動できる交通アクセス、▼災害対策を考えた場合、太平洋側だけでなく日本海側にある拠点の重要性といった点も訴求点です。

こうした強みをいかして、働く場を増やし地域を活性化できるか、官民の動きに注目したいと思います。

  • 野口恭平

    新潟放送局 記者

    野口恭平

    2008年入局 徳島放送局、報道局経済部を経て新潟放送局へ。幼いころから南魚沼市で年末年始を過ごす。現在は経済を担当。新潟ー東京間の新幹線は最大7分短縮!

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