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新型コロナ特例貸付 返済免除申請約28% 新潟県

  • 2023年03月28日

新型コロナの影響を受けた人も特例として対象となった国の貸し付け制度。2023年1月から順次返済が始まる中、「所得が低い」などとして返済の免除を求める申請が新潟県内の貸し出し全体の約28%に上っています。新型コロナの影響に加え、物価高騰などで厳しい経済情勢が続く中、返済免除が決まった女性は「心苦しい」と複雑な心境を明かしました。
(新潟放送局 記者 草野大貴)

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返済免除申請 貸し出し全体の約28%

当面の生活費を無利子で借りられる国の「緊急小口資金」と「総合支援資金」は特例として新型コロナの影響で失業したり、収入が減少したりした人も対象となり、特例措置が終わった2022年9月までの貸し付けの決定件数は新潟県内では約1万6000件、額にして約44億円でした。2023年1月から順次、返済が始まる中、県社会福祉協議会によりますと「所得が低い」などとして返済の免除を求める申請は2023年2月末現在、貸し出し全体の約28%、4510件に上っていることが分かりました。
 

新型コロナでリストラ 返済できず「心苦しい」

新潟市に住む60代の女性がNHKの取材に応じました。女性は新型コロナの感染拡大以降、一時職を失い、合わせて80万円を借りました。

女性
「緊急小口資金を20万と、総合支援資金を60万借りました。収入がなくなって所得がなくなりました。工場関係で働いていましたが、新型コロナで仕事の注文が少なくなってリストラです。年齢などの影響でフルタイムでは働けません。パートをしていますが、買い物も切り詰めて、見切り品、お買い得品を計算しながら買い物しています」

2023年度は住民税非課税の世帯となり、返済は免除されることになりましたが、複雑な心境だといいます。

女性
「借りたのだから、返すのが当たり前なんですが、所得がない。私の中でどうしたらいいのか。返している方がいるのに私は返していないからやっぱり悪いなという心苦しさはあります

物価高騰も影響 返済について相談を

貸し付けの窓口となっている県社会福祉協議会の担当者は、返済の免除が全体の約28%にも上ることについて、新型コロナによる地域経済への影響に物価高騰が重なり、特に所得の低い世帯の状況が厳しさを増していることが背景にあると指摘します。

県社会福祉協議会 笹川直樹 生活支援課長
「感染拡大の影響による減収がいまだに一定水準まで戻っていないという状況が見受けられます。相談で一番多いのが仕事を辞めたあと、なかなか次の仕事に復職できないということです。それから病気等で仕事を休んだり辞めたりした方々もいます。そうした状況に物価高騰が重なり、返済ができない要因になっていると考えられます」

県社会福祉協議会は返済の免除や猶予といった制度もあるので、困った場合は相談を寄せてほしいと呼びかけています。

県社会福祉協議会 笹川直樹 生活支援課長
「返済免除、それからどうしても償還(返済)が困難な方々については償還猶予という制度もあるので相談してほしい」。

【相談窓口】新潟県社会福祉協議会「特例貸付償還事務センター」
電話番号は050(2018)8116。平日の午前9時から午後5時まで受け付けています。

  • 草野大貴

    新潟放送局 記者

    草野大貴

    徳島局から2022年8月に新潟に赴任。借りたものは返すべきですが、返済ができない人の事情を理解する社会であってほしいと望んでいます。

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