拉致を知らない世代へ 「蓮池さん夫妻」
- 2022年09月22日
2002年に行われた日朝首脳会談で、北朝鮮が初めて拉致を認めてからことしで20年。
政府が認定する北朝鮮による拉致被害者17人のうち、帰国を果たしたのは5人です。
拉致被害者と再会を果たせないまま亡くなる家族が相次ぎ、解決に向けて一刻の猶予も許されない状況となっています。その一方で、時間の経過とともに拉致問題を知らない若い人たちが増えているのも事実です。『拉致を知らない世代へ』と題して、拉致問題についてシリーズでお伝えします。 新潟放送局 記者 油布彩那
若い男女が海岸で行方不明に
44年前の1978年7月31日。
「たばこの火を貸してください」そう声をかけられたあと、柏崎市の海岸で、若い男女の行方がわからなくなりました。
午後7時頃、2人が歩いているのを近所の人が見たのが最後でした。
この夏にはアベック拉致事件が相次ぎ、北朝鮮の犯行が疑われていましたが、政府が北朝鮮による拉致として言及したのは、10年後でした。
蓮池薫さん 祐木子さん
行方がわからなくなったのは、当時20歳の蓮池薫さんと、当時22歳の祐木子さんです。
東京の大学に通っていた薫さんは柏崎市内の実家に帰省中で、祐木子さんは市内の化粧品店に勤めていました。
日朝首脳会談 2人の生存が確認
2002年に行われた日朝首脳会談で蓮池薫さんと祐木子さんの生存が確認され、結婚して子どもがいることや、蓮池さんが北朝鮮で翻訳の仕事をしていることなどが明らかになりました。
その年の10月、2人は24年ぶりに日本に帰国、その2年後には子どもたちも帰国しました。
拉致被害者の一刻も早い帰国を
蓮池さんは現在、柏崎市内の中学校などで講演会を行い、拉致問題の啓発につとめるとともに、一刻も早い被害者の帰国を訴えています。