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「和牛五輪」宮崎が“おいしさ”評価の部門で日本一!特徴は?

  • 2022年10月13日

5年に1度開かれ「和牛のオリンピック」と呼ばれる全国和牛能力共進会。宮崎県勢は【肉牛の部】で「内閣総理大臣賞」を受賞しました。
宮崎県代表の牛が内閣総理大臣賞を受賞したのは4大会連続で、史上初めての快挙となった今大会。日本一になった裏側を取材しました。

宮崎の牛はどこが評価された?

「和牛のオリンピック」とも呼ばれる、この品評会はスポーツのオリンピックにさまざまな種目があるように、牛が多くの区分に出品され、順位付けが行われます。

主な部門としては、牛の姿を見ながら繁殖能力などを評価する「種牛(しゅぎゅう)の部」と、枝肉を見て脂肪の付き方などを評価する「肉牛の部」があります。さらに、この2つの部門には合わせて8つの区分があります。今回、宮崎県の牛は「肉牛の部」全体の最高賞に当たる内閣総理大臣賞を受賞しました。

受賞した牛は【肉牛の部】のうち「脂肪の質評価群」という新しい区分に出品された牛でした。こちらが、内閣総理大臣賞を獲得した肉の断面です。

この新しい区分では“脂肪の質”という名のとおり、肉を焼いた時の香りや口溶けのよさの指標の一種となる脂肪酸の含有量の多さが評価の対象となりました。そして、下図のような特別な測定機器で計測し、順位が付けられました。

脂肪酸の含有量などを測る 特別な測定機器

この「脂肪の質評価群」という区分は、今回の大会から新しく設けられた部門になります。

消費者ニーズの変化

これまで牛肉は「肉の量」と脂肪、いわゆる「サシの入り方」で、A4やA5などにランク付けされることが多くありました。焼き肉やステーキなどでもランク付けは、なじみ深いですね。ところが、健康志向のため赤身の肉を好む人が増えるなど消費者ニーズが多様化しています。

このため、サシの入り方などの「見た目」ではなく「おいしさ」を数値化し、牛肉の新たな価値基準を模索しようという動きが広がっています。今回、新たな区分が設けられたのもその1つと言えます。受賞した畜産農家の1人に話を聞きました。

神田 譲市さん(えびの市)
宮崎の素牛がそれだけ資質が良いことと、地域全体の飼育技術があるから受賞につながったのではないかと思います。私自身は、今回の鹿児島大会を最後に引退しようと心で決めていた。思いどおりで目指していた賞がとれて嬉しい。

「内閣総理大臣賞」の牛を育てた神田 譲市さん

およそ40年間、畜産を営んでいる神田さんのモットーは「牛がストレスなく育つ環境作り」です。牛舎を山あいの閑静な場所に設けているほか、1日2回の餌やりを決まった時間に行うとともに、1頭1頭に合わせた量を与えるといった工夫が今回の受賞につながったと振り返ります。

大会全体では?

今大会は、5日間の日程で鹿児島県の霧島市と南九州市で開かれ、宮崎からは「肉牛の部」や「種牛の部」など3つの部門に合わせて22頭が出品されました。「肉牛の部」の最高賞にあたる「内閣総理大臣賞」には、小林市とえびの市、それに高千穂町の3頭の牛が選ばれました。

宮崎県代表の牛が内閣総理大臣賞を受賞したのは4大会連続で、史上初めての快挙となりました。また、種牛の部の区分のうち、若いメス牛の繁殖能力を競う第3区では、高千穂町の牛がトップに当たる「優等賞首席」を獲得しました。

宮崎県は「おいしさに関する部門で最も高く評価されたことで、宮崎牛のおいしさが全国的に認められた。これをしっかりPRしてさらなるブランド力の強化につなげていきたい」とコメントしました。

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