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宮崎大学に現れたサル!どこからきたの?②

  • 2022年06月30日

宮崎大学の学生たちへのインタビューをきっかけに始めた今回の調査。
なかなかの難問ですが、果敢に取材を進めたところ、知られざる事実が見えてきました。

宮崎の野生ザルのエキスパートに聞く!

取材を進めてみると、宮崎県が今年4月に改訂した「ニホンザルの管理計画」を発見しました。 

県内各地にどれだけの野生ザルが生息しているか、群れの数や推定頭数が記されています。
この管理計画の調査を担った岩切環境技研の技術士の岩切康二さんを訪ねました。

ニホンザルの調査はどのように行っているのでしょうか?

岩切康二さん(岩切環境技研)
「各地の集落を回って地域の方に話を聞き、近くにいそうだと分かれば集中的に調査。新しいフンや食べ跡が落ちていないか注意しながらサルの群れを探します。鳴き声も特に重要です。」

様々な手がかりをもとにサルが生息する区域を割り出した岩切さんによると、県全体でだいたい100群れがいると推定しているそうです。

岩切さんが群れごとにニホンザルの行動範囲を推測した結果をまとめた地図によると、宮崎大学の周辺にもいくつも群れがあると分かります。
宮崎大学に出没したサルは、これらの群れから出てきた“離れザル”なのでしょうか?

岩切康二さん(岩切環境技研)
「宮崎大学には竹やぶもあるので、タケノコを食べに来ていたりしたのかもしれないですね。“離れザル”だとするのが妥当かなと思いますが、どこから来たのか、正確な答えはサルに聞かないと分かりません。“離れザル”というのはどこにでも行くんです。ただ、大学近くの双石山や加江田の群れのどちらかから出てきた可能性は高いかと思います。」

答えには近づけましたが、さすがの岩切さんも、断言するのは難しいとのことでした。

“離れザル”は住宅地にも!

「“離れザル”はどこへでも行く」とのことでしたが、取材を進めると、宮崎市内の住宅地で撮影されたという映像を入手しました。

ここは平和台公園の住宅地。民家の玄関の扉をめがけて、サルが飛び掛かってくる瞬間を捉えた衝撃映像です。撮影した住民によると、ここ数年、サルをよく見かけるようになったそうです。

それでは、実際にサルに遭遇してしまった場合はどうすればいいのでしょうか? 

もし突然サルに遭遇したら!?

訪ねたのは、県の総合農業試験場の室屋敦紀さん。
サルなど野生動物から農作物を守る対策を指導しています。

室屋敦紀さん(総合農業試験場)
「野生ザルによる農林作物の被害額は増えています。自然になっている木の実より、農家が丹精込めて作った野菜や果樹の方が、人にとっておいしいように、サルにとってもすごくおいしいんですよね。」

農地ではなく、市街地にまでサルが出てくるようになった理由を聞いてみると・・

室屋敦紀さん(総合農業試験場)
「率直に言うと、人がサルに“なめられている”ということだと思います。昔はサルが人里に来たら追い払っていましたが、今は人が怖がって逃げたりするので、サルが人の生活圏内に居ついてしまったのです。サルが生活範囲をどんどん人里に広げているのが、ここ最近の傾向です。」

それでは、実際にサルに遭遇した場合、どう行動すればいいのでしょうか?
取材にあたった神谷アナウンサーがサルに扮し、教えてもらいました。

室屋敦紀さん(総合農業試験場)
「サルは目を合わせると歯をむき出しにして威嚇をします。なので、目を合わせたり、スマホを構えて写真撮影などはサルに襲われてしまうので絶対にやらないでください!目をそらして、その場から立ち去るのが鉄則です。」

理想的には、サルに「ここはお前の居場所じゃない」と分からせる必要があるため、身近な物で大きな音を鳴らし、複数人で追い払うことも大事とのこと。サルは臆病で頭のいい動物なので「人間は怖い」と学習し、近づかなくなるそうです。

実際に住民が協力してサルの追い払いを行っている地域では、サルの出没や農作物の被害も少なくなっているそうです。
しかし、絶対に無理は禁物。サルは自分より弱いと思う相手を攻撃する習性があります。女性や子供、高齢者は特に注意が必要ですので、安全な場所に避難し、警察や消防などに通報するようにしてください。

NHK宮崎では、みなさんの身近な疑問やお悩みをお待ちしています、次回もお楽しみに!身近な疑問・お悩みはこちらから https://www.nhk.or.jp/miyazaki/tegetan/index.html

  •  牛田幸宏 

    宮崎局・ディレクター

     牛田幸宏 

    木城町出身

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