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健康リスクも “ダイエット薬” ほんとうに必要ですか?

「GLP-1ダイエット」とは?

「運動や食事制限の必要なし」、「簡単に痩せられる」。

最近こうした“甘い”うたい文句をSNSなどで目にすることもあると思います。

いまオンライン診療の普及もあって急速に広がっている「メディカルダイエット」の宣伝広告です。このダイエット、使われているのは実は「GLP-1受容体作動薬」という糖尿病の治療薬です。この薬には食欲を抑える働きなどがあり、それをダイエットのために利用しようというのです。

しかし、SNS上には「使用後に低血糖になった」とか、「下痢が続いている」など、健康への影響を訴える声もあがっているほか、急性すい炎など命に関わる健康被害の報告も上げられています。

こうした中、適切な診察や経過観察がないなど不適切な処方が行われているケースがあるとして、日本糖尿病学会や日本医師会が相次いで警鐘を鳴らしています。

(「クローズアップ現代」取材班)

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簡単に処方されたけれど、体に異変が

こちらの30代の女性は、薬を使用して8か月になるといいます。

若いころから痩せたいという気持ちが強かったという、この女性。

出産後も糖質制限や筋トレでダイエットを続けていましたが、思ったように成果が出ないなか、SNSの広告で目にしたのが、インフルエンサーが宣伝する「GLP-1ダイエット」の文字だったといいます。

ホームページにはオンライン診療で処方できると書かれていたといい、女性は病院に行かなくて済む手軽さにひかれ、受診を決めました。

そして、ネット上の問診で体重や既往歴を記入し、診察を予約。
時間になると、医師と名乗る男性から電話がかかってきて、3分ほどの簡単なやりとりで処方が決まったといいます。

処方された時点の女性の体重は45キロで、飲む必要は無いとも言われたといいますが・・・。

女性

「それでも欲しい、飲みたいんですと言ったら、『じゃあお守り代わりぐらいで持っているぐらいにすれば』って言われて。」

薬は「定期便」として毎月、自宅のポストに届くようになり、毎日1錠ずつ使用を始めた女性。

服用してから半年後、体の異変に気づきました。

手の震えが止まらなくなり、胃腸の調子も悪くなっているのを自覚したのです。

近くの医療機関の消化器科を受診すると、「GLP-1受容体作動薬」の副作用も考えられるとして服用をやめるよう言われたといいます。

GLP-1受容体作動薬 どんな薬?副作用は?

そもそも「GLP-1受容体作動薬」は2型糖尿病の治療薬として承認されたものです。
そのため、ダイエットのために使うことは「適応外」の処方となり、自由診療の枠組みで行われています。

副作用については、吐き気、頭痛、めまい、消化器の不調(便秘、下痢)などの症状がみられるとしています。

また、重大な副作用として、命にかかわる急性すい炎や、胆のう炎、低血糖などがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うことが求められています。

しかし、これらの副作用は2型糖尿病の患者に投与した場合についてであり、患者以外の人が使用した場合の安全性や有効性などは確認されていません。

そのため、健康な人がダイエット目的で薬を使ったときにどうなるのか、医師も詳しくはわかっていないのが実情なのです。

また、医薬品の副作用で万が一健康被害があったとき、国内で承認されている薬であれば、公的な救済制度があります。
しかし、承認された対象以外の人が使った場合や、決められた用法・用量などに従って使われていない場合は、原則、救済対象にならないとされています。

体調不良を自覚も “依存”してしまう心理

半年間、薬を飲み続け、胃腸の調子が悪くなるなどの症状が出た30代の女性。

体への負担も大きかったことから、女性は一時服用をやめたといいますが、体調が回復した後は再び薬を飲み続けるようになってしまったといいます。

その結果、体重は3キロ減って、42キロに減少。
肥満度を表すBMIは17.4で、低体重に該当します。
低体重は、貧血や月経不順、将来の骨粗しょう症などの健康リスクが高まるとされています。

一方、最初の診察から8か月、処方したクリニックからの経過観察は一度もありません。
女性は、薬の使用をやめられなくなっていった胸の内を明かしてくれました。

女性

「怖いからです。食べたくなるのが怖いので。夫には飲んじゃだめだよと言われていますが、わかったと言いつつずっと飲んでいます。結構依存しているところはあると思います。無いと不安になってしまいます。」

【関連番組】 NHKプラスで12/18(月) 午後7:57 まで見逃し配信👇

その”美容医療”受けて大丈夫? 4つのチェックリスト☑

「GLPー1ダイエット」など、自由診療での美容医療サービスは美容への意識の高まりなどを受け、年々、拡大しています。

こうした美容医療サービスなどの自由診療について、厚生労働省は、患者が安全性や有効性について十分理解した上で医療を受けることが重要だとして、消費者庁と合同で、美容医療を受ける前のチェックリストを公表しました。

チェックリストでは、糖尿病ではない人の「GLPー1ダイエット」は、安全性や有効性が確認されていないと示した上で、患者が医療従事者に対して、患者自身が理解できるまで追加の説明を求めるなどの対応を促す4つの項目を設けています。


 その薬 自分で説明できますか?
▼1つめは、使用する薬がどのようなものか、自分でも説明できるかどうかです。
美容目的の自由診療で使われる薬などは、法律で承認されていないケースがあることから、安全性や有効性について自分でも説明できるくらい医師の説明をしっかりと聞いて理解することを求めています。

 リスクや副作用 納得しましたか?
▼2つめは、効果だけでなく、リスクや副作用などについても知り、納得したかどうかです。
万が一のリスクを受け入れられるまで「効果とリスクのバランス」について納得できているかどうか確認してほしいとしています。

 その方法 自分で選択しましたか?
▼3つめは、ほかの方法や選択肢の説明も受け、自分で選択したかどうかです。
ほかの施術手法が存在する場合には、それぞれの効果・リスク・費用・保険適用の有無などを比較し、理解できるまで説明を聞き、患者自身で選択してほしいとしています。

 その薬 今すぐ必要ですか?
▼4つめは、その美容医療は「今すぐ」必要かどうか、最後にもう一度、確認してほしいとしています。美容目的の施術は、多くの場合緊急性がないとしたうえで、契約に関わるトラブルが多く報告されていることから、「今契約すれば安くなる」などの勧誘に十分気を付けてほしいとしています。

広がるオンライン診療 課題は?

美容医療サービスなどの自由診療では、利用されている「オンライン診療」についても課題が指摘されています。

厚生労働省は、「対面診療と比べて得られる情報が少ない」点を十分に勘案して実施すべきだとして、医療機関向けにガイドラインを作成し、順守を呼びかけてきました。

しかし、チャットだけで診療を完結するなど不適切と疑われるオンライン診療の情報提供があることなどを踏まえ、厚生労働省は、オンライン診療の実態調査に乗り出すことになりました。
この施策を盛り込んだ補正予算案が先月末に成立し、今後、具体的な調査方法を検討していくことにしています。

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※取材や放送の判断はNHKが行います。

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みんなのコメント(18件)

体験談
猫まま
60代 女性
2024年4月3日
60歳を前にして、離婚のストレスから40キロ近く体重が増えました。それまでは50キロあるかないかでした。脂肪肝になり、このままではダメだと、消化器内科の医師から処方されています。3ミリから始まり14ミリを飲んでいます。飲んで4ヶ月した頃から全身の痒みが始まり、今はリベルサスが原因かと皮膚科から言われて休んでいます。あまり痩せもせず、身体の為には痩せなくてはいけないのですが、痒みがあり休むしかありません。痩せるのに薬に頼らなければならないのが自分でも情けないです。痩せるために飲むのでも、医師から勧められる事もあることをご理解頂ければと思います。
提言
マートン
60代 男性
2024年1月6日
肥満症解消、ダイエットというニーズに最適化した薬が提供されていない現状が根本的な問題。弱みにつけ込む悪質な医療従事者は、より効果的で正当な方策が普及すれば自然と減少すると思います。
体験談
花札
40代 男性
2024年1月5日
リベルサス、ダイエット目的で半年ほど服用していたら胆石症となってしまいました。結果、急性胆嚢炎を発症し、胆嚢を摘出する手術をする羽目に。高いリスクがありますのでおすすめしません。
感想
ととかま
2023年12月24日
お医者さんの薬への無理解がある気がする。
例えばある漢方薬は体脂肪率を下げるが、基本的には下剤なので長期服用すると胃腸を壊す。胃腸を労わる漢方に切り替えればいいのに、中医学の知識がないのに処方しているから漫然と処方し続ける。なんなら記事にあるような薬をお医者さん自身が飲んでいたりする。美容や健康のために体を作る時に、身体や精神を機械のように考えるのは危険だと思うが、誰も疑問すら抱かない。生命のために医学があるのではなく、まるで薬やビジネスのために人間がいるみたいだ。
提言
やまちゃん
70歳以上 男性
2023年12月22日
私自身は糖尿病の患者でもう10年程、飲みクスリ(朝1回2種類)を続けていましたが、4月に新薬(マンジャロ)がでて、医師の勧めで1回/週の自己注射型に変えたところ、確かに、食欲がなくなり、体重は66から58Kgに痩せ、
ヘモグロビンA1Cも6.5から5.9に改善し、奇跡の新薬と言われる効果を実感しました。確かにアメリカでは同じ薬を名前を変え痩せ薬として認定させていますが、BMIが確か25以上が対象で放送された女性は対象外で、いくら自由診療とは言え、対象外の方にオンライン対応では無責任すぎます。
番組では無意味な対象者を相手に商売をしている美容整形クリニックの無節操さとこれに飛びつく若い女性(自己責任)の行動をより非難すべきと感じました。このような輩の為に、マンジャロの高濃度は入手できず、7月~9月重症糖尿病方が苦労しているの見ていました。
本当に必要な患者に薬がいきわたらない事が問題です
提言
齋藤健一
50代 男性
2023年12月11日
この場合は医師が処方しているのではなく、医者が薬を売っているのです。日本の医薬分業が曖昧なので違法にならないのです。
完全な医薬分業を行えばこのようなケースは無くなります。
誰も本質を指摘していません。NHKには本質を掘り下げて欲しいです。
感想
みゆ
50代 女性
2023年12月11日
今日、テレビみさせていただきました。 
私はインスタやYouTubeでこの薬を初めて知りました。普通の内科で処方していただきました、
最初は、緑色のリベルサスを服用しました。まだ、値上がり前でしたので9500円だったような気がします。けれども、副作用もなく、効きめもなかった為、その緑の上の赤色のリベルサスを服用したら、やせるどころか、とにかく、飲むだけでもきつくて、けれど、お金がたかいので、頑張って服用しましたが、リベルサスが、値上がりしたため、緑の方のリベルサスにまた戻りましたが、とにかく、小さい薬でしたが、飲むのもきつくて、3ヶ月で、お薬飲むのやめました。
待合室にいると、そこの病院は、ほぼ、ダイエットの患者が多かったように見えました。
もっともっと特集をくんでいただきたいとおもいます。
提言
TO
60代 男性
2023年12月11日
番組の主意がずれている。片や遠隔診療での自由診療の行き過ぎを論じ、片や製薬メーカーの製造不足を問題視する。前者の問題を学会理事が鋭く突いている。むしろこちらが論点であり医師会を巻き込んで解決策を探るべき。
質問
にゃんこまま
50代 女性
2023年12月11日
どうしても薬に頼らないと
ダイエットできないと言うけど
自由診療で投与後に
(そもそも医師の診察なのかも不明なのに)
経過観察の為の再診すら無しで
3ヶ月6万円もする薬を
リスクと一緒に死ぬまで
ずっと何十年もの間
使い続けられるものなのでしょうか?
提言
こいちさん
50代 男性
2023年12月11日
闇の処方箋を作成、利用してる
社会的に注視する内容だと思います。
どんどん報道公開されるべき内容です。

担当 「クローズアップ現代」取材班の
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