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マヂカルラブリー野田クリスタルさん発案『未来の自転車』静岡を走る!【1ミリ前進!リポート】

「自転車事故をどう減らす?」という課題の解決を目指す番組の中で誕生した『未来の自転車』。一時停止をする時の「ブレーキのかけ方」を判定してくれる自転車です。

一緒に解決を目指す仲間、「1ミリーガー」として番組に参加してくれた自治体から、「交通安全講習で使いたい!」と手が挙がり、開発者の文教大学・松本修一准教授の協力のもと、静岡市で試乗会を実施。放送後も「1ミリ」動いた、現場の挑戦をリポートします。

(「1ミリ革命」プロジェクト)

ブレーキが楽しくなる!『未来の自転車』

「未来の自転車」誕生のきっかけは、人を楽しませるプロ、お笑い芸人のみなさんに集まってもらい、「どうしたら自転車事故を減らせるのか?」のアイデアを出しあった「1ミリ革命大喜利」。マヂカルラブリーの野田クリスタルさんの「ブレーキを握ると握力が表示される」という回答から、開発がスタートしました。

このアイデアの実現を目指し、私たちが相談したのは、交通システムの専門家、松本修一さん(文教大学情報学部准教授)と自転車センサーの開発者 具志大輔さんです。サイクリングシュミレーターを用いて、自転車の走行評価や挙動解析などを行い、自転車の走行環境の整備や安全対策に関する研究開発をしています。

左:文教大学情報学部准教授 松本修一さん 右:センサー開発者 具志大輔さん

「ブレーキを握ったときに握力が表示されれば、ゲーム感覚で楽しくブレーキをかけてくれるのではないか・・・」

この、「楽しさ」を大切にした野田さんのアイデアを聞いた松本先生からは、ある指摘が・・・

「果たしてブレーキを強く握ることが正しいことなのか?」。握力を測るためには、瞬発的に強くブレーキを握らねばならず、急ブレーキにつながる恐れがあるというのです。

その指摘を受けて、野田さんが提案したのが、「ブレーキを“ゆっくり”かけたくなる仕掛け」でした。

「音が出るとかじゃないのかな。急ブレーキすると、プシュっと音が鳴っちゃうみたいな。よくバレないように、おならするときあるじゃないですか。急ブレーキするとブッっておならの音が鳴っちゃうけど、ゆっくりブレーキをかけるとスーってバレないような、すかしっぺが鳴る装置」

このアイデアをもとに、松本先生と具志さんが開発したのが、音の出る『未来の自転車』です。特別なセンサーをつけた自転車が、運転者のブレーキの善し悪しを判定してくれます。

『未来の自転車』の仕組み
① ブレーキをかけ始めた方がよい地点に入ったら、「まもなく停止ポイントです」と音声でブレーキを促します。
② 減速中のブレーキの強さは、自転車に搭載されたセンサーで計測。
③ 自転車が停止すると、「ナイスブレーキでした」と急ブレーキだったか否かを音声で知らせます。

こうして、楽しく正しいブレーキを学ぶことができる、『未来の自転車』が誕生!

9月に放送した番組の中では、一緒に解決を目指す仲間、「1ミリーガー」として番組に参加してくれた自治体から「交通安全教室で使いたい」と次々と手が挙がり、松本先生が「全国どこでもお持ちします!」と宣言するなど、大いに盛り上がりました。

あなたのブレーキは大丈夫? 『未来の自転車』試乗会

放送後すぐに開かれた、『未来の自転車』の活用に向けたミーティング
(左上から時計回りで、「未来の自転車」開発者の松本さん、「1ミリーガー」の静岡市役所 松岡利三朗さん、1ミリ革命プロジェクト 占部ディレクター、「1ミリ革命委員」の慶應義塾大学教授 宮田裕章さん)

放送後すぐに、松本先生を中心として、具体的な活用を検討する会議が開かれました。放送の段階では、1台しかなかった『未来の自転車』ですが、自治体からの熱いラブコールを受けた松本先生は、貸し出し用として、もう1台の自転車を開発。自転車関連のイベントを定期的に行っている静岡市での実現が決まり、試乗会に向けて準備が始まりました。

11月27日。静岡市で開催された『サイクルフェス2021』の会場に、番組で誕生した「未来の自転車」の姿がありました。静岡市は、市街地のほとんどが平らな地形であるが故に、日常生活で自転車を利用する人が多いため、より自転車を安全に楽しく乗ってもらおうと2016年から開催されています。

会場では、自転車の交通ルールを学ぶ教室や、子どもたちが楽しみながらバランス感覚を鍛えるストライダーレース、電動自転車や折りたたみ自転車など多種多様な自転車の試乗会などが開かれました。その会場の一角に、『未来の自転車』のブースが設けられ、訪れた人に試乗してもらいました。

最初に試してくれたのは、「未来」という言葉に惹かれたという小学生。

スタッフから説明を受けたあと、ゆっくりと慎重に走行スタート。コース中盤にさしかかったところで停止すると…「ナイスブレーキでした」の判定が。良いブレーキの感触を掴(つか)んだあとは、勢いよくこぎ出し、急停止。「ブレーキはもう少し優しくかけましょう」というアナウンスに声をあげて笑っていました。

「1回しか怒られてないけどね。なんかわざと、きって止まったら、『もうちょっと優しくかけましょう』とか言ってきた。ふつうにいつも通り、なんにも気にしないでやったら『いいですね』って言われた。ブレーキを判定されるのは楽しい」

次に試してくれたのは、息子さんと一緒に自転車教室に参加したという50代の男性。普段は買い物や外出の際に自転車を使っているそうですが、いつもどおりにブレーキをかけた1回目は、「急ブレーキ」の判定。いつもよりも優しくブレーキをかけた2回目に、「正しいブレーキ」と判定されました。

「『今までのブレーキがおかしかったのかな』『子どもを乗せていたときには、子どもにとって優しくなかったのかな』とちょっと反省しました。2回目はいい判定がでたので、それを続けていこうかなと思います。子ども初めて自転車に乗ったときに、こういう風にブレーキの善し悪しを教えてくれるとその後の交通安全につながると思いました」

静岡市内で交通安全教室や交通指導を行っている、交通安全指導員も試乗に参加してくれました。自身のブレーキを見直すと共に、指導方法を振り返るきっかけにもなったといいます。

静岡県交通安全協会 静岡中央地区支部 主任交通安全指導員の寺田敬子さん 指導歴12年

「普段、左ブレーキをこまめに使って減速して、最後に両手でブレーキをかけるように指導しています。この自転車でも、両手で止まったときは『もうちょっと優しく』と判定されましたが、左ブレーキをこまめに使って停止したときには『ナイスブレーキです』と判定してもらいました。普段の指導が間違っていなかったのだなと感じましたし、こういうのがあれば、停止線の手前から徐々にスピードを緩め始めて止まるというのがわかるので、子どもたちも楽しく学ぶことができると思います」

『未来の自転車』がふだんの運転を振り返るきっかけに

『未来の自転車』の試乗会を企画した、静岡市役所の松岡利三朗さん(交通政策課 自転車のまち推進係)は、『未来の自転車』の試乗が、自分の自転車の乗り方を振り返るきっかけになると、手応えを感じていました。

静岡市役所 松岡利三朗さん(交通政策課 自転車のまち推進係)

「バランスを保ちながら、安全に停止できるブレーキというのが、ご自身が思っているものと機械が判定する正しいものとの間に大きくギャップがあるということを実感してもらえました。止まり方を指導するといった技術先行の教育ではなく、実際に走りながら客観的に音声評価されることで、より指摘を受け入れやすい仕組みになっているのではないかと思います。今後は幅広い年齢層に試してもらい、その後の運転がどう変わっていったか、行動変容のアンケートを行い、市内での活用に向けて検討していきたいです」

松岡さんは、市内のイベントでの試乗会をはじめ、市立小学校や高齢者への交通安全教室での活用を目指しています。

『未来の自転車』各地出張、承ります!

みなさんの町でも、『未来の自転車』を活用してみませんか?開発者の交通安全教室や、交通安全・自転車に関するイベントなど、日本全国の自治体や団体への貸し出しを検討しています。下記の「コメントする」から、ぜひお気軽にご相談ください!

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