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みなかみ町 移住者が水上駅前を新たな憩いの場に”再生”

  • 2022年09月28日

水上駅周辺に新たな人の流れを作ろうと、古い書店を、観光客や地元の人たちが集える憩いの場に再生しようと取り組んでいる澁澤健剛(しぶさわ・けんごう)さんに思いを伺いました。

(前橋放送局アナウンサー 原口雅臣 /2022年9月取材)

舞台は古い書店

水上温泉の玄関口、JR水上駅前の商店街のはずれに、20年近く前に閉店した築およそ50年の古い書店があります。

この場所を、観光客や地元の人が集うブックカフェに再生しようと、10月のオープンを目指して改装が進んでいます。

プロジェクトを進めているのが澁澤健剛(しぶさわ・けんごう)さん(43)。家族でみなかみ町に移り住んで4年半になります。

町になければ作ればいい

原口アナウンサー

「私がお邪魔している場所が、今、澁澤さんが進めている、古い書店を皆さんが集まれる憩いの場にしようというプロジェクトの現場ですが、改装作業はどれくらいまで進んでいるんですか?」

澁澤健剛さん

「全体の半分ぐらい終わったかなというところです。中に、在庫だった本や文房具、本棚とかが、まっすぐ歩けないぐらいあったんですよ。それがきれいになって、空間が見えてきた状態で、10月にはオープンできればと思っています」

澁澤さんは伊勢崎市出身。趣味の登山で谷川岳に通ううちにみなかみ町にほれ込み、家族で移り住みました。高崎市内にある広告会社に勤めながら、休日は、自ら立ち上げたインターネットのサイトで、町の情報を発信したり、駅前でイベントを開いたりして、地域おこしに取り組んでいます。

水上駅前の古い書店の再生は、澁澤さんにとって、町に人の流れを作るための新たな挑戦です。

「駅前と言えども、シャッターを下ろしているお店がすごくあって、地域住民としては、ちょっと寂しいなというのはあったんですよ。とはいえ、自分に何ができるのか、最初は分からなかったんですけど」

「『みなかみ町には、お父さん本屋さんがないよね』って、子どもが急に言ったことがあったんです。あっ、たしかにそうだなと思いました」

「町に本屋を復活させたい」その実現に向け、改装資金をクラウドファンディングで募ることにしました。反響は大きく、すぐに目標の金額が集まっただけでなく、寄付の半数以上を地元の人たちが占め、澁澤さんを驚かせました。

大好きなみなかみのために

「澁澤さんが、みなかみに移住されて4年半たって、新しいことを始めようというときに、地元の人がこれだけ応援してくださるということは、その間に、それだけ人間関係が築けたっていうことですよね?」

「人間関係を築くという考え方はあまりなかったんですけど、ただ、移住をしてきて、一生、みなかみ町で暮らしていきたいと思っているので、ちゃんと根付きたいなと思ったんです」

「なので、地区や保育園の役員とか、地元の消防団とか、できるだけ関わってきたことは、大きいのかなと思っています」

「地元の皆さんからこれだけ支援していただいたので、もうこのプロジェクトをやめる訳にはいかないぞと。ありがたいんですが、プレッシャーもひしひし感じています」

「移住してきて、なおかつ、地域のために汗をかくというのは、本当にすごいと感じるんですが、そのモチベーションはどこから来ているんですか?」

「自分もこの町が大好きですし、この町が好きだよと言ってくれる人がいるとうれしいので、そういった方を増やしたいと純粋に思ったことが、ひとつのきっかけですね」

「誰かからやりなさいと言われた訳でもなく、やらなければならないということでもないので、まったく負担はないんですよ。やっていて、楽しいなと思っています」

ブックカフェを“止まり木に”

原口アナウンサー

10月中にオープンする予定のブックカフェを、どんな場所に育てたいと思っていらっしゃいますか?

澁澤健剛さん

「観光で来られた方にも、みなかみに暮らしている方にも、来てもらいたいなと思っていて、観光で来られた方には、電車の待ち時間の30分とか、暮らしている方には、隙間時間にちょっと寄ってもらうとか、止まり木を作りたいなと思ってるんです」

「扱う本は、旅とか山とか、高山植物の図鑑であるとか、絵本であるとか、みなかみにちなんだものを置きたいなと思っています。食事は、谷川岳の湧水で炊いたおにぎりをメインに、谷川岳の湧水でいれたコーヒーやお茶をお出ししたいと思っています」

澁澤さんと話していると、みなかみが好き好きでたまらないということがひしひしと伝わってきました。水上温泉では、11月に新しいホテルが開業する予定で、それまでには、ブックカフェ「Walk On Water」を開業させたいということです。

  • 原口 雅臣

    前橋放送局アナウンサー

    原口 雅臣

    1997年入局。宮崎局、福岡局、東京アナウンス室などを経て、前橋局へ。「ほっとぐんま630」キャスター3年目。地域を元気にしようと汗をかいている人たちにスポットを当てていきたいです。

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