群馬 キッチンカー最新事情 霊きゅう車との意外なつながりも
- 2022年04月25日
私たちが平日夕方にお伝えしている「ほっとぐんま630」は新年度にリニューアル。
新コーナーも始まりました。その1つが、2人のキャスターの名前を冠した「菅原が行く」、「中谷が行く」です。今“知りたいこと”“ほっとな場所・人”をタイムリーに取材してお伝えしていきます。
記念すべき1回目は菅原の担当。食べることが大好きな私がずっと気になってきた「キッチンカー」の“今”を探っていくと、新型コロナを背景にした“キッチンカービジネス”の広がりが見えてきました。
(前橋放送局キャスター 菅原成美/2022年4月取材)
まぜそば、ピザ、中華がゆ…
キッチンカーが平日は毎日姿を見せると聞き、まず向かったのは、前橋市役所です。
焼きたてのピザやスパイシーなカレー、さらには本格的な「中華がゆ」まで、日替わりで多彩なメニューを提供しています。
取材した日は、ボリュームたっぷりの「まぜそば」でした。
「いろんな種類の店が来てくれるんで毎日、楽しみにしています」
「こういう所に店が出ている時は、なるべくキッチンカーを利用するようにしています」
行政も後押し
新型コロナの「巣ごもり需要」も背景に勢いを増すキッチンカー。
店舗を構えていた人たちが「兼業」や「転身」するケースが増えているといいます。
「まぜそば」を提供するこの店は1年半前にオープン。もともと県内外で開いていた4店舗のうち3つが新型コロナの影響で閉店に追い込まれていました。
キッチンカーまぜそば店 阿藤伸司さん
「待っているだけじゃなく外に出ていこうと思って新たに挑戦しました。キッチンカーブームなので飛躍できたらと思っています」
こうした新たな挑戦を行政も後押ししています。前橋市は市の施設や公園などを積極的に提供し最も大事な「場作り」を行っているのです。
霊きゅう車とキッチンカー!?
「菅原が行く」
次に向かったのは高崎市。今度は、お店ではありません。
その場所は霊きゅう車を製造・販売する会社です。
キッチンカーと何の関係があるの?と首をかしげる方多いと思います。最初に聞いたとき、私もそうでした。訪ねた理由は、キッチンカー業界への参入が異業種から相次いでいることを聞いたからでした。
この会社では、去年からキッチンカーの製造を始めました。新型コロナの影響で葬儀が減る中で、新たなビジネスチャンスと考え乗り出したということです。
霊きゅう車製造・販売会社 青山光一社長
「霊きゅう車を作っている技術が意外と生かせる部分が多かったんです。それでキッチンカーの製造も始めました」
今、キッチンカーでの販売を考える飲食店の人たちからの相談が絶えないといいます。
この日、会社を訪れていたのは伊勢崎市の飲食店の経営者でした。ただ、店を構えるのではなく、キッチンカーをレンタルする事業を始めようと考えています。
飲食店経営者 吉澤寿也さん
「コロナ禍で、飲食業に付随したもので何か強みが作れないかなと思っていました。今から(キッチンカーの)事業を始めたい人でも、レンタルであればリスクが少なくなると思ったんです」
ビジネスマッチングも
実は、2人の商談をつないだ人がいました。
事業を始めたい人の間で動く「コーディネーター」の秋山麻紀さんです。
キッチンカーコーディネーター 秋山麻紀さん
「コロナ禍においてはやはり飲食業界というものの支援が多く必要とされていると感じた中で、出店場所の調整や開業者の支援などを始めるに至りました」
秋山さんもまた、新型コロナの影響を受けている1人です。もともと地域活性化などのイベントを手がけてきましたが、イベント自体が減りました。キッチンカービジネスの広がりを受けて今は「橋渡し役」として、業界を盛り上げることで「地域に元気を与えられる」と奮闘しています。
キッチンカーコーディネーター 秋山麻紀さん
「これからは、高齢者がたくさん住む集合住宅や“買い物難民”が発生している場所にお届けできるような、そういう仕組み作りができればいいなと思っています。5年後、10年後を見据えて、便利な群馬県をもっと作っていきたいと思っています」
秋山さんが調整している出店場所は、現在、前橋市内だけでもおよそ20か所。5月にはその倍に増える見込みだということです。多くの場所でキッチンカーを楽しめる機会はますます増えそうです。
活況を呈するキッチンカーの今。映し出されたのは、コロナ禍によるピンチをたくましく、柔軟な発想で乗り越えようとする人たちの姿でした。