外耳炎とは?原因や正しい耳のケアについて解説

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外耳炎耳が痛い耳がおかしいかゆみがある耳だれが出る

外耳炎はどんな病気?

外耳、中耳、内耳それぞれの場所

私たちの耳は、「外耳」「中耳」「内耳」の3つに部分に分けられます。
外耳とは、耳たぶと、その奥、鼓膜の手前まで続く外耳道の部分を言います。また、鼓膜から奥が「中耳」そして、さらに奥、骨の中に埋もれている部分が「内耳」になります。
外耳炎は、耳の外側に近い部分で起きる病気です。

実際に外耳炎を起こした患者さんの写真

実際に外耳炎を起こした患者さんの写真です。耳の外側から耳の中を撮影したものです。
右の図は、治療後の写真で、奥に見える半透明なものが鼓膜です。鼓膜の後ろに骨が見えるため、ちょっと白く見える部分もあります。
左の図は、外耳炎を発症しているときで、外耳道がぷくっと腫れていることがわかります。炎症で周りも少し赤くなっています。

具体的な症状としては、かゆい、痛い、さらには、耳だれが出たりします。耳だれとは、耳から出てくる無色や黄色の分泌物で、サラサラなものが多いのですが、中にはネバネバしたり、不快な臭いのするものもあります。

外耳炎の原因

外耳炎の主な原因

耳掃除のしすぎや、爪などで耳の中をかくことで発症します。また、イヤホンの長時間使用でも発症することがあります。
皮膚とイヤホンが触れる場所に力がかかって傷つきやすくなり、耳をかいた際に、そこから細菌が入って外耳炎になる可能性があります。
補聴器は病院や専門機関で自分の耳の形に合わせて作っているので、起こりにくいのですが、不潔にして使っていた場合などでは発症する可能性があります。

深刻な異変のサイン?

外耳炎が悪化すると命に関わることがあります。

代表的なのが、悪性外耳道炎という病気で、頭蓋底骨髄炎ともいいます。外耳炎を引き起こした細菌が、周囲の骨、軟骨からさらに奥の頭蓋底(脳を支えている骨)にまで広がって、骨を壊していきます。
強い耳の痛みを伴い、悪臭があるうみが出たりします。聴力が低下することもあり、ひどい場合には、顔面や、頭部の神経まひが起こります。
治療は、耳の清掃を行いますが、耳あかをとるというものではなく、腐ってしまった骨をこまめに除去するという処置を行います。また、抗菌薬も使います。

この病気に注意した方がいいのは、糖尿病の患者さん、または、抗がん剤を打っている人、自己免疫疾患(リウマチなど)で、免疫抑制剤を使っている人など、免疫力が低下している方たちです。
外耳炎が軽症でも、強い治療をして重症化するのを抑える必要があります。

まずは受診 正しい耳ケア

耳が痛い、かゆいなど耳に異変を感じたら、自己判断で放置せずに、まずは耳鼻咽喉科のクリニックを受診することが大切です。診察で、耳の中を診てもらえれば、外耳炎なのか、他に原因があるのかわかります。

外耳炎の診察

外耳炎の治療は、吸引器などで耳あかや、耳だれの分泌物を除去します。健康な人はこれだけで症状が改善してきます。大切なのは、かゆくてもかかない。耳を傷つけないことです。
炎症や腫れがひどい場合には、抗菌薬の点耳薬や、ステロイドの塗り薬などを使用します。さらに、重症の場合は、抗菌薬を内服することもあります。

外耳炎の治療

症状によりますが、早ければ1~3日ほどで快方に向かいます。(遅くても1か月ほど)ステロイドなどの薬を使用する場合、連日使用は1週間までに留めることが大切です。1週間以上使用していると、耳の中にカビが生えて外耳道真菌症を発症することがあります。
抗菌薬やステロイドを使い続けると、細菌がいなくなり、さらに免疫も下がった状態になって、カビの原因菌が入り込みやすくなるからです。

正しい耳ケア

「耳は何もしない」というのが1番です。
耳あかは、自分で取らなくても、自然と排出されるようになっているからです。ただし、外耳道に傷がある場合は、耳あかがそこで止まってしまうことがあるので、傷が治るまでは、耳鼻科で耳あかの除去などを行ってもらいましょう。

どうしても、自分で取りたいという場合は、耳の穴の入り口から1cm弱ぐらいまでの範囲に留めることが重要です。綿棒でいうと、先っぽの綿がついている部分ぐらいです。
“耳あかだけ”をそっと取るようにする。ことが重要です。1cmよりも奥は非常にデリケートな皮膚になっているので、そこを傷つけないようにしましょう。
また、イヤホンは、長時間使用しないことや、清潔な状態で使うことが大切です。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2021年6月 号に掲載されています。

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