第32回「日本賞」<2005年>受賞企画

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番組企画部門
放送文化基金賞
企画名:すべては読み書きから
機関名:エデュケーション・フォー・オール
国名:アフガニスタン
企画内容
 このドラマの番組企画は、ダリ語とパシュトウ語の両方で、2話制作(それぞれ15分)を予定している。地域社会に識字教育を普及させ、社会的な面でも、衛生的な面でもアフガニスタンの状況の改善を目指している。特に、アフガニスタンでは、女性の出産時の死亡率が高いため、この状況を改善するためにも、識字教育は非常に大切なことである。
 このドラマでは、まず、辺地の学校への赴任を命じられた新任の教師が登場する。その村には、さまざまな問題があり、これを打開するためには読み書きを学ぶ必要性があると考えた彼は、教育助手と共に、男性でも女性でも参加できる読み書き教室を開く。この村の地主の娘は、すでに成人していたが、読み書きを習いたいと、このクラスへの参加を希望した。ところが、地主は、女性が教育を受けることに否定的であり、教師へ圧力をかけ、読み書きクラスをやめさせようとする。しかし、教師は、その圧力に負けず、努力を続け、最後には、この地主に、いかに読み書きの能力が大切であるかということを納得させ、村人の輝かしい未来のためにクラスに協力する、という約束まで取り交わす。
審査講評
 20年以上、戦争状態にあった国が、その後やるべきこととは何でしょうか? アフガニスタンの企画「すべては読み書きから」は、識字をめぐる闘いを再び始めることにより、この問いに応えようとしています。典型的な地域住民たちが”前進”と”古い封建的な差別”との闘いに命を吹き込むフィクションの物語を通じて、現在のアフガニスタンの暗闇に対する日々の闘いを表現することが可能となっています。
 さて、この企画の意義はどんなところにあるのでしょうか?
 教育的な目標と視聴対象という点で --- アフガニスタンでは、読み書きのできない大人が多いのですが、今のところ、識字教育を行うテレビ番組は存在しません。この国の識字率はわずか10%です。
 視聴可能性という点で --- 放送や中継放送、あるいは電気のないところではVCR(ビデオカセットレコーダー)や可動映画を通じて、国内で広く見せることができます。予算は賞金の金額と見合っています。
 内容と訴求力の点で --- 学校に通う女性たちと、教育を受けていない地主たちが、主な対象視聴者です。現在の状況やアフガニスタンで最近何があったのか、理解していない地域の人たちの目を開かせるために、この番組は非常に重要な役割を果たすでしょう。
 企画された番組は、ある社会に暮らす人々にとっては素朴なものに見えるかもしれません。しかし、そうでない社会の人々にとっては、力強く、きわめて有益な番組であると言えます。
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