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5度目の挑戦で掴んだプロの舞台 北海道へ恩返しのプレーを見せたい

  • 2024年1月26日

若い選手の台頭が目覚ましい近年の女子ゴルフ界。今年、その世界に飛び込む一人のどさんこゴルファーがいます。札幌市出身の政田夢乃(まさだ・ゆめの)選手。合格率3%というプロテストを5回目の挑戦で見事合格し、悲願の夢舞台への切符を掴みました。得意のアイアンショットを武器に早くから注目を集めていましたが、プロテスト合格までの道のりは決して平たんではありませんでした。今季からプロでの戦いが始まる政田選手にこれまでの競技人生について、そして故郷・北海道への思いを伺いました。

どさんこゴルファー・政田夢乃選手

政田夢乃選手は、女子ゴルフ界において、有望な選手が多い世代といわれる2000年生まれの23歳。いわゆるプラチナ世代の一人です。

政田選手の持ち味は安定したアイアンショット。しっかりとフェアウェイをキープし、どんな位置からでも正確にグリーンを狙うゴルフで昨季、プロを目指す若手選手が出場するツアー大会で、最多の4勝を挙げ、年間女王に輝きました。

「アイアンショットが得意なので、ピンをしっかり攻めて、バーディをとるというのが自分のスタイルですね」

“私は室内練習場育ちなので” 北海道だからこそ強くなれた

ゴルフと出会ったのは3歳のとき。お父さんと一緒にゴルフ練習場に行き、初めてゴルフクラブを握りました。

「父がゴルフ好きで、その練習についていったのがきっかけですね。最初はボールを打つというよりも、どんどん下からボールが自動的に上がってくるのを見ているのが楽しかったんじゃないですかね」

政田選手の才能は早くから開花しました。小学生のときに初めて全国大会で優勝を経験すると、中学、高校でも全国制覇を果たし、実力のある選手が多い世代のなかでも、特に将来を嘱望される選手でした。

そんな政田選手のゴルフの基礎を作り上げたのが、室内での練習です。北海道は冬場、およそ4か月、ゴルフ場でプレーすることが出来ません。ただ、打球の行方に左右されることなく、自分自身のスイングに向き合うことが出来る室内練習場での時間が自分の土台になっているといいます。

「小さい時から室内で育ってきたので、やっぱりここでスイングの基本を作った感じでしたね。室内だと、飛んだ球の行方が見えないので、どっちにボールが行ったかはほとんどわからないんですけど、わかんないからこそ、スイング作りに集中できるんですよね。室内には室内のメリットがあるという感じです」

遠すぎたプロの舞台~恩師と交わした約束を果たしたい~

しかし、プロへの道のりは決して平たんではありませんでした。北海道の高校を卒業後、19歳のときにはじめて受けたテストはわずかに1打及ばず不合格。その後、毎年挑戦を続けるもあと一歩のところでプロの壁に阻まれてきました。

「高校3年生の時までは結構自信があったんですけれど、最初に落ちてしまった時はやっぱり悔しい気持ちが大きくて、プロテストの一打の重みをすごく感じました。テストの当日にしっかりと調子を合わせていったり、体調を整えたり、その全部がうまくいかないとダメなので。3回目のテストに落ちてしまった時には、怪我などもあって、一度競技から離れるタイミングもありましたし、テストを受ける回数が増えるたびに、もう無理なんじゃないかなっていう思いもありましたね」

そんななか、一昨年の7月。政田選手にとって大きな出来事がありました。高校時代のゴルフ部の顧問、斉藤孝男さんが亡くなりました。プロの選手になるという目標は、恩師とともに目指した大きな夢でもありました。

「斉藤先生は、高校時代にずっとお世話になっていた方で、試合の遠征にもついてきてくれて、自分の親のような存在だったので、本当にショックでした。普段はクールな先生で、 あまり口数は多くなかったんですけれど、その中でもラウンド中とかに声かけてくれて、すごく力になっていました」

なかなか結果が出ず、落ち込んでいた政田選手に対して、亡くなる直前まで斉藤さんはエールを送り続けていました。

「亡くなられる前も、先生とは連絡を取り合っていて、テストに落ちるたびに『また来年もあるんだから!』っていうふうにずっと励ましてくれていたんです。斉藤先生は、いい報告をするとすごく喜んでくれる方だったので、今回もいい報告するぞ!みたいな感じで頑張れるきっかけになりました。やっぱり恩返しをしたいなと思って」

恩師との約束を果たし、必ずプロの選手になりたい。政田選手は、プロテスト合格に向けて、得意のアイアンショットの精度に磨きをかけてきました。ショットの正確性を高めるために、練習のときから一球一球狙いどころを定めて打ち続けるなど、実際のコースを想定した練習を続けてきました。

「ラウンド中は、同じところから2球打つということは絶対にないので、練習の時から実戦を想定して、目標物を変えたりして打った方が試合に繋がるかなと思って始めました」

その成果は結果としてあらわれます。昨季のツアー大会では、どんな状況でも安定したショットが光った政田選手。ショットの正確さを示す数値があがり、持ち味だったアイアンショットに磨きがかかりました。そして、5回目の挑戦となったプロテストに見事合格し、恩師との約束を果たしたのです。

プロとして挑む2024年への思いとは

いよいよ今季からプロの世界での戦いが始まります。政田選手の今年にかける思いを書いてもらいました。

「勝という字ですね!まずは今年も勝ちにこだわって、プロでの1勝を目指します。そしていずれはレギュラーツアーに出場して、北海道で開催される試合で優勝したいという気持ちが強いので、そこも含めて頑張りたいと思います」

~取材後記~

今回、政田選手の取材を通して、人柄の魅力はもちろん、どんなにくじけそうになったとしても、決してぶれることなく、挑み続けることの大切さを学ばせていただきました。小さい頃から目標としていた夢に向かって努力をし続ける。プロテストという大きな壁にはね返されたとしても、何度でも立ち上がって前に進み続ける。そんな政田選手の原動力になっているのは、これまで支えてくれた人たちへの感謝の思いでした。放送では、お伝えすることが出来なかったのですが、政田選手は家族の存在が本当に大きかったと話していました。そんななか、撮影中、サプライズで登場してくれたのが。

弟の大成さんです。高校までは野球をしていた大成さんですが、夢乃さんの影響で、なんと大学ではゴルフ部に入部したんです。本当に仲の良いお二人で撮影中にはこんなひとこまも。

※政田選手のスイングを撮影する大成さん

「プロテストに合格したタイミングで最初に思い浮かんだのは家族の存在」と話す政田選手。
2024年、支えてくれた家族、高校時代の恩師、そしてファンの前で、どんなプレーを見せてくれるのか今から楽しみです。どさんこゴルファーの夢の舞台での戦いが始まります。

小山凌

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