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【制作後記】出来ることから始めたい、伝えたい

2017年06月09日(金)

画像・ハートネットロゴ6月13日放送『ハートネットTV』「働く聴覚障害者限定!静かで熱い座談会」。タイトルどおり番組出演者はもちろんのこと番組制作者であるディレクターも聴覚障害者。この番組に込められた想いとは・・・。ディレクター長嶋愛からのメッセージです。


写真・収録後、出演者との集合写真

今回の番組は、出演者が全員、聴覚障害者。制作担当としてのこだわりは、「当事者だけ」で語り合うことでした。

私の職場は、私以外、全員、聞こえる人です。難聴ゆえの悩みがでてきても、「こんな時どうすれば?」と、同じ状況を共有できる人はいません。だから、これまでは自分で考えて、行き詰まって我慢して・・・と、孤独な言い訳を積み重ねてきました。

それが3年前、些細なことで、変わる経験をしました。知り合った同世代の難聴者にポロッと、「会社でこういう時、どうしてる?」と聞かれたのです。私が抱えてきた悩みと全く同じでした。驚くと共に、果てしない砂漠の奥に人影をみつけたような、とても大きな安堵感を得ました。

そこから少しずつ、声をあげられる勇気も持てるようになっていきました。誰かに自分の経験を素直に話せること、共有してもらえること、そしてそれに対して同じ立場だからこそ同情でもなく批判でもなく、率直な声が返ってくること。そのことが、自分らしさを取り戻せるきっかけとなり、背中を押してくれる力となりました。

この見えない力は、当事者同士の間でしか生まれないという確信があり、今回の番組企画へとつながりました。ディレクター視点で考えると、とても人間のコアな部分だと思ったのです。関心のない人にも、見てもらえるだけのパワーがあるかも。と。

今回とりあげた、働く聴覚障害者の実情は、氷山の一角だと思います。まだまだ表には見えてこない現実がたくさんあるでしょう。それでも、出来ることから始めたい、伝えたい、という思いで制作しました。何かを少しでも感じ取ってもらえたら嬉しいです。

『ハートネットTV』ディレクター 長嶋 愛


▼関連番組
 『ハートネットTV』「働く聴覚障害者限定!静かで熱い座談会」(Eテレ)
  2017年6月13日(火)夜8時[再放送:2017年6月20日(火)放送 昼1時5分]

▼関連カキコミ板
 30代 働く聴覚障害者のみなさん!“仕事のお悩み”を教えてください!

コメント

言語障害を伴う比較的重度脳性マヒを持つものです。
海外での生活も長いのですが、一般企業でソフトウェア開発をやっています。

今日、お昼の再放送を拝見しました。聴覚障害はありませんが、会議中の発言や飲み会のことなど、とても共感できる部分がありました。
 私も言語障害があるので、会議中など私が発言すると会議のテンポを崩してしまうのではないかと思い、躊躇することが多いです。でも、こじんまりとした会議などでリーダーが気配りする方だと、わざわざ、私に質問や発言の時間を設けてくれ、色々議論できることもあります。
 また、飲み会の話も大いにうなずけました。僕は、聞く方は問題ないのですが、いくら頭の中で面白いことが浮かんでも、なかなか伝えることが難しく、特に騒がしいところでは、伝えにくいです。だから、大概、人の話に耳を傾けながら、ちびりちびりお酒を飲む程度です。たまにトーキング・マシーンで短いメッセージで笑いを取る程度です。

コミュニケーション障害というものを定義できるならば、コミュニケーション障害を持った職業人を研究する学問分野ができても面白いのではないかと思いました。色々考えていきたい分野ですね。

投稿:イサム 2017年06月20日(火曜日) 22時01分

地方公務員(県職員)です。生まれつき聴覚障害者で両耳聴力ありません。補聴器、口話でなんとか会話ができる状況です。 コミュニケーションの取り方、会議での参加方法等で悩んでましたが、この収録にしていた皆さんも同じように悩んでいたことを知り共感を覚えました。この状況を打破したく色々な取り組みをされていることを知り自分はまだまだやることがあるんだと自覚させられました。このシリーズが続くことを期待します。出来れば私も参加したいです。よろしくお願いします。

投稿:潤ちゃん 2017年06月14日(水曜日) 23時06分

両耳人工内耳、今年3歳になる娘の母です。
タイトル通り、静かだけど熱い!座談会、娘の将来を想像しながら拝見しました。
私はまだまだ難聴の世界を知らないんだ…娘とは一生分かち合えない世界があるんだと
改めて奥歯、噛み締める想いでした。
だけど健聴者でも会議で発言出来ない人もいるし、
対人コミュニケーションに問題を抱える人もいます。
健聴でも難聴でも、人間はみんな人生で心が折れることが何度もある。
そんな時、折れた心を何度だって立て直すパワーやユーモアがあれば
娘の将来も不安ばかりじゃなくなるな!って、これが観終わった時の気持ちです。
聴こえないからこその働きにくさは尽きることがないと思いますが、
聴こえないからこそ気がつくこと、出来ること、繋がる世界がきっとある。
みなさんの活躍と日々の努力を応援しています!

投稿:坂本春香 2017年06月13日(火曜日) 21時00分

東京都内の企業に勤務している30代(女)です。会社から帰宅して、なんとなくテレビをつけて、あちこちチャンネルを回しているうちに今回の番組に出会い、とても興味深く拝見しました。電話対応の多い仕事の為、勤める会社には耳の聴こえない方はいらっしゃいませんが、もし身近にいらっしゃったら、自分も「聴こえる多数の内の1人」として、寂しい思いをさせてしまいそうだなぁと、容易に想像できる内容が多く考えさせられました。
個人的には飲み会のシーンの話をもっと聞きたかったです。"こういうふうに気を使ってもらったらもっと楽しめるのにねー"という聴こえる人への愚痴とか。。。?

コーヒー店で働いている方が利用されている指差しボードが、コンビニやカフェなどに当たり前のようの置いてあるようになったらいいですよね。英語も書いてありましたから、決して耳の聴こえない方だけの為でなく、英語の話せない接客担当の人にも助かりますし、みんなの為になるように思いました。

ありがとうございました。

投稿:まるさや 2017年06月13日(火曜日) 20時58分

本日放送ですね!楽しみにしながら、放送時間を待っています!

投稿:ゆき実 2017年06月13日(火曜日) 18時55分