本文へジャンプ

湯浅 誠さんからのメッセージ 『シリーズ 貧困拡大社会』

2013年04月15日(月)

4/16放送
シリーズ 貧困拡大社会 どうなる?生活困窮者の支援
にご出演の湯浅 誠さんに収録の感想を聞きました。

 20130416_yuasa.JPG
《湯浅 誠さんプロフィール》
反貧困ネットワーク事務局長
生活困窮者など国内の貧困問題に関する活動に力を入れている。

 

Q.貧困や病気を抱えた人の自立を目指して、専門のスタッフが
“伴走”しながら支援していく「パーソナル・サポート・サービス」。
国がモデル事業として2010年から行ってきたこのサービスが、
この3月で終了します。
かわって、新たな生活困窮者のための支援制度の準備が
進められているわけですが、ポイントのひとつは法案化されることで、
一定レベルのサービスがどこでも受けられるようになるということでしょうか。


そうですね…、良い点で言えば、法案になることで、
寄添い型の自立支援サービスが
全国どこでも受けられるようになるだろうということですが、
逆に言えば、これまではやる気のある自治体で主体的に取り組んでいたのが、
今後は、必ずしもそういうところばかりではないという事態を
生み出す可能性も含んでいますよね。
だから今後の課題は、いかに長所を伸ばし、
逆に短所を抑えることができるかということになってくると思いますね。
「やりながら良くしていく」ことがいかにできるか。

 

Q.そのためには、収録でもおっしゃっていましたが、
今後、成功事例をいかに増やし、
また共有するかが重要ということになってきますね。


本当に重要ですね。こういうのは、
オセロを一枚一枚ひっくり返していくような作業なんですよね。
「こうやったらうまくいった」という事例を地道に増やし、
さらにそれをお互い学び合っていくしかないと思います。

 

Q.他に、新制度に移行するうえで懸念されている点には
どんなことがありますもありますか。


これまでは国が全額を持つかたちで
やる気のある自治体をサポートしていたわけですが、
今後は1700の自治体すべてでサービスを行うということで、
当然自治体負担も出てくるし、
結果として「いつまでもこの状態のままでやっていられない」
「就労の可能性が高い人だけを相手にすれば良いんだ」
などという声も出てくるかと思います。
ですから支援することでもっとトータルに、
「こういう社会的な還元があるんだ」
というビジョンを示すことが求められてくると思います。

 

Q.福祉サービスの社会的効果を、
いかに「見える化」するかということの重要さを、
番組でもおっしゃっていました。


はい。たとえば私も兄が障害者ですけれども、
今、兄に社会参加する場所があることによって、
私も思い切って活動できているわけです。
兄がずっと家にいることになれば
やっぱり母親や私にもその分の影響が出る。
そういう意味で言うと、兄の働く場をつくってくれている人は、
間接的に私をも支えてくれているんですね。
そういうことって、なかなか実感として湧かない人が多いと思いますが、
それをどう社会に浸透させていくかということが重要ですし、
また私自身、言っていかなければいけないことでもあると感じています。

取り組みというのは直線ではなく、
良いことも悪いことも含めてやっぱりジグザグに試行錯誤を重ねながら
前に進んでいくもの。
いろんな課題や問題を見つけながら
いかに全体を少しずつでも良くしていくかだと思います。
だからこそ、番組を見ていただきたいし、
またその中で自分にできることはなんだろうと
考えていただけたら嬉しいです。

 

シリーズ 貧困拡大社会

どうなる?生活困窮者の支援

2013年4月16日(火) 20時00分から20時29分 Eテレ
  [再放送] 4月23日(火) 13時10分から13時39分 Eテレ

コメント

※コメントはありません