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福祉を何も知らない男が現場取材で感じたこと(前編)

2014年12月15日(月)

「トクヨウ」って…なんだろう?

福祉介護関係者の方にお話を聞いていると、呪文のようにトクヨウトクヨウという言葉が表れます。一般人には聞き慣れない言葉で、日本独特の略称だということは分かるんですが、なんだかちょっと遠い存在に聞こえてしまうのは僕だけでしょうか。

このトクヨウ、ハートネットTVブログの読者さんであれば説明は不要なのかもしれませんが「特別養護老人ホーム」の略です。こう聞くと「あぁ老人ホームね」と合点がいく気がしたんですが、「特別養護老人ホーム」と「老人ホーム」は意味が異なるらしい。キーワードだけ聞いても何が違うのか分かりづらく、福祉の世界は近いようで遠く感じる瞬間です。

今回、ハートネットTVブログの企画として、福祉を何も知らない三十路男がデイサービスを体験取材し、第3者の視点から見たこと感じたことを前編後編の2本でお届けしたいと思います。


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今回お邪魔させてもらったのは、知人から紹介いただいた東京都中央区にあるマイホーム新川(しんかわ)です。

特別養護老人ホームって立派なところに入ってるんだなと思ったら、特別養護老人ホームは公的機関が運営している施設を言うそうで、こちらは中央区が母体となっており、社会福祉法人 賛育会が運営を行っています。


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最寄り駅の八丁堀から道沿いにある建物へ入っていきます。事前に職員さんから「入り口が分かりづらい」と聞いていたので、地下にあるここが入り口かなと思ったら、普通は地上から入っていくそうで。初っぱなから間違えました。


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入り口から2階へ行くと目の前に見えるサービスセンター。ここで職員の方が事務処理等の作業を行っています。

この日の職員は約10名と大学の実習生が2名。それに対し利用者は約30名となっており、9時から15時−17時頃までの間に多くの方が過ごす空間となっています。


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朝9時30分ごろ。1日取材を担当してくださる責任者の渡辺恵美子さんに同行し、利用者の送迎へ向かいます。この日は、施設を中心として車で約10分以内の距離に住まれている方達の送迎へ向かいました。

マイホーム新川は地域に根ざした運営がされており、利用者の方は基本的に中央区民の方となります。住み慣れた町で福祉サービスを受けることができるということは、心の安心に直結するんでしょう。

 

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この日、助手席に座らせてもらっていました。道を左折する時やけに大ぶりに車体を回すんだなぁと思ったら、車がロングボディなので道を曲がるのに一般車両とは運転の仕方が変わることに気づきます。

それもそのはず、車いすを複数台収納するための福祉車両です。車が長くなって当たり前ですね。思わぬ所で福祉の世界を体感しました。


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送迎後は2階のサービスセンター前に利用者の方々が集合。

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マイホーム新川での利用者年齢層は、50代後半から90代前半となっており、世代に広がりが見られます。「90近くになれば戦争を体験した最後の世代」とは渡辺さんの一言ですが、戦争という単語が「僕」の日常とはかけ離れていたため、妙にハッとさせられます。

利用者の方が揃うまでの間、各々が席に着きおしゃべりをしている所にちょっとだけ僕も混ぜてもらいましたが、戦争時の話を聞くことができたり、日本を見てきた人の言葉の重みを感じつつ、子供の頃に帰ったような感覚になります。長く生きてこられた方々だけに、温かいんですよね。

10時頃にはリハビリを兼ねた朝の運動から始まります。座りっぱなしの一般社会人がやってもいい運動だなと思いながら僕も参加。背筋が伸びます。

リハビリ後はいつでも飲めるお茶が出され一息。


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お昼ご飯は一人一人食べやすいように調理され、品目も違います。栄養バランスやアレルギーももちろん考慮されているとのことで、とてもおいしそうです…。お米大好き。

マイホーム新川へ来る前には、福祉施設というとネガティブな印象を持っていたのですが、デイサービスというサービス形態ということや職員の方の温かさもあってか、非常に活気ある施設となっていることもあり、暗さを感じることはほとんどありませんでした。

後編では、責任者である渡辺さんの話を交えて福祉現場をお伝えしたいと思います。


福祉を何も知らない男が現場取材で感じたこと(後編)、はこちらをクリック。

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