Road to Rio vol.63　筋肉の力を最大限に。～第16回全日本パラ・パワーリフティング選手権大会～

2016年01月15日（金）

投稿者：web担当
カテゴリ：Road to Rio 2016
コメント(2)

誰よりも重いものを持ち上げる戦い。

参加するのは下肢に障害がある選手で、バーベルをしっかり両手で持てることが条件です。下肢障害は、切断、ポリオの後遺症、脊損（脊髄の障害）が主なものです。その中で脊損は程度によって腹筋背筋ともに力が入らない人から、足だけに力の入らない（動かない）人まで様々。選手たちは自分の筋肉の力を振り絞り、記録に挑戦します。

パラ・パワーリフティングではベンチ台の上に横になりバーベルを胸につけて上げる「ベンチプレス」のみで競われます。

選手はまず、あおむけになります。

次に、バーベルを胸まで下ろし、いったんしっかり止めます。

そこから、勢いをつけずに一定の速度で肘がまっすぐ伸びるまで持ち上げ、再びしっかり静止。少しでもぶれると失敗となります。

私自身、ハートネットTVで昨年の大会を見学し、今年は2回目。

もう1年過ぎたんだ…と時間を感じつつ、選手たちの“筋肉”はパワーアップしているかな？と思いながら会場に向かいました。

なんだか会場がとても立派に！そして選手の腕からパワーがほとばしっているようなセットがカッコいい！と思いました。

選手たちの近況を解説するスタイルは今年も健在！しかも実況席が！初めて見る人にも凄さが伝わるよう、心配りがされていました。左は日本パラ・パワーリフティング連盟の吉田進理事長。右はアナウンサーの小笠原聖さんです。

お客さんもたくさんいらしていました！

ロンドンパラリンピックで９位だった、三浦浩選手。男子49kg級のクラスでの出場です。

三浦選手の体重は約48kg。そして115kgのバーベルを持ち上げています！

三浦選手は今回、1回のみの試技でしたが、優勝されました。

こちらは男子54㎏級のクラスの西崎哲男選手。かなりの数の応援団を前に、緊張の面持ちです･･･。
以前勤めていた職場を、競技に打ち込むため退職。その後、アスリートの就職を支援する制度を通じて、現在所属する企業に採用されました。大応援団はその会社の皆さんとご家族。アットホームな感じの応援でした。新しいパラアスリートへの支援の形です。

最後の試技で135㎏を成功してガッツポーズ！自身の持つ日本記録を更新しました！

65 kg級のクラスの内田基哉選手。試技前に胸を張るのは、大きく反った胸の位置にバーベルを下ろすことができれば、移動距離が小さくなるためです。

バーベルをしっかりと胸につけ…

成功！内田選手は最終試技で105kgを上げ、ご自身のクラス2位の成績でした。

196キロの日本記録を持つ第一人者、大堂秀樹選手（88kg級）。ロンドンパラリンピックでは6位に入賞を果たした実力の持ち主です。

大堂選手は交通事故による脊髄損傷で、胸から下の感覚がまひしています。そのため、胸をそらすことができません。今回、大堂選手は170kgを上げました。リオ出場のチャンスは今年１月から２月にかけて３回行われるワールドイベントで良い記録を出し、ランキングで10位以内に入ること。現在、11位の大堂選手はあともう一歩！是非リオパラリンピック行きを決めていただきたいです！

宇城元選手はロンドンパラでは７位（75kg級）。今回リオでは80kg級のクラスでの出場を目指しています。

今回、最終的には178kgを上げました。日本記録はご自身の持つ186kgです。世界大会、そしてリオでの活躍も期待です！

前回の大会には出場していなかった馬島誠選手（97kg級）。馬島選手は元々アイススレッジホッケー選手で、2010年に行われたバンクーバーパラリンピックでは日本代表メンバーとして銀メダルを獲得しています！今回、全日本選手権に初出場です。

“ルーティン”のように腕をそろえ…

いざ！

バーベルがしっかり胸につきました。

見事、成功！

馬島選手、最終的には140kgを上げ日本新記録を更新しました！今回、自己ベストを15kg伸ばしましたがこのクラスの世界記録は241kg。東京での金メダルを目指し、さらなる“成長”を期待してしまいますね。

パラパワーリフティングは“筋肉のメンテナンス”さえしっかり行えば、息長くできる競技。是非皆さんには“いい筋肉”を育てて、世界の大舞台で1kgでも多く“腕を”上げてほしいですね！

◆関連情報