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NHKハート展 心に触れる表現

2014年04月04日(金)

ハートネットTV、WEBライターです。
日付のハートネットTVは、今年で19回目を迎えるNHKハート展の入選作品から10代の若者の作品を紹介いたします。
どれも力強くて感性豊か!それでいて、とっても素直でシンプルな詩が多かったです。
こちらでは放送の“一部”をご紹介させていただきます。


◆おれの挑戦:4/8(火)放送

この詩を書いたのは、15才の脳性まひの尾下翔太さん。
両足と左手をうまく動かせない翔太さんは、彼の担任の柴田先生が赴任した頃、
「最後のひと踏ん張りが出来ない、あきらめちゃう」
「苦手なことは避けてしまう」弱い男の子だったそうです。
しょうたくんに自信をつけさせたいと考えた柴田先生が提案したのは、車いすマラソン。
その難関に挑戦し、成し遂げた彼の詩は、全部の言葉が私の心を打ち抜きました。


20140210_heart001.JPGのサムネイル画像
ドクドクドクドク
胸が痛い
震える手
吐きそう
でも 今日のオレは 逃げん
 …
ヨーイドン
スタートだ
 …
くやしいうれしいたのしい
なんか目覚めた
車いすマラソン

 


「今日のオレは逃げん」なんて、私に言えるのかな?
緊張や怖さを乗り越え、その勇気が自分に自信をもたらした、まぶしいような詩でした。
この詩に添えられた一つの真っ赤なハートの絵は、翔太さんの緊張する気持ち、踏ん張る気持ち、燃える気持ち、たくさんの感情が詰まっている熱いハートだと思います。


私には、小学5年生と小学3年生の子供がいるのですが、つい自分の子供に余分なことを求めてしまいます。
「勉強して欲しい」
「さっさとやるべき事を片づけて欲しい」
「家の手伝いも上手にこなして欲しい」・・・。

さらに、
「より能率良く」
「より段取り良く」
「将来、より有利になるように」
なんていうことまで望んでしまう。意地汚いような親心です。

だけどそんなことよりも、
自分を奮い立たせ「挑戦」する緊張に立ち向かう
「まだまだつづく一本道」を前向きに見つめる
そんな「勇気」が本人にとって何より価値があると気付かせてもらいました。

人は勇気を持って前進出来たとき、きっとそのことを誇りに思えると思うのです。
私がついつい求めがちな目の前の成果や効率より、自分の人生を誇りに思う瞬間が、その子の心を豊かに幸せに出来るのだと思いました。


4月から親元を離れ、寄宿舎のある高校へ進学する翔太さん。
自分のお小遣いを使って、一人で鉄道を乗り継いで遠出する練習にもトライします。
「将来は福岡で働きたい」という具体的な目標を見据え、一歩一歩進みながら自分で自分の自立心を育んでいる姿に、「成長」の本当の意味を教えてもらいました。
私も、「余分な望み」で子供たちの本当の成長を見失わないようにしなきゃ、と思いました。


雑多なことに追われる日常の中で、つい、自分に「入って」くるお金やモノや環境など、目に見える具体的なものに気を取られ、「あれが足りない」「これがもっと欲しい」と欲深な思いに支配されてしまいます。
でも、今回出会った作品たちから、「表現する=自分の中からアウトプットする」ことがどれほど自分を豊かにするか教えてもらった気がします。

若い彼ら彼女らからインプットさせてもらった形の見えない、でも確かに心に触れたものを忘れずにいたい。
作品を見て是非その感覚に触れていただけたらと思います。



◆NHKハート展
NHKハート展とは、詩とアートを組み合わせた展覧会です。
この展覧会は、障害のある方もない方も、互いに理解しあい「ともに生きる社会」の実現を目指し、NHK 福祉キャンペーン「NHK ハートプロジェクト」の一環として実施しています。


◆放送予定
すべて夜8時から放送。再放送は翌週の同じ曜日、午後1時5分から

2014年4月8日(火)再放送4月15日(火)
NHKハート展 「オレの挑戦」
2014年4月9日(水)再放送4月16日(水)
NHKハート展 「ホーホー」
2014年4月22日(火)再放送4月29日(火)
NHKハート展 「お願い」
2014年4月23日(水)再放送4月30日(水)
NHKハート展 「バッタのかんさつ」

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