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【出演者インタビュー】岸本葉子さん「サバイバーシップは確実に広がっている」

2013年09月20日(金)

9月23日、24日放送
シリーズ がんサバイバーの時代
第4回、第5回 みなさんの声にこたえて
にご出演の岸本葉子さんにメッセージをいただきました。


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《岸本葉子さんプロフィール》
エッセイスト。
アジア各地の旅の様子や身近な日常生活をつづったエッセイが人気。
2001年に虫垂がんを患い体験記を発表。
病気と心のありようについても綴(つづ)り、共感を得ている。


――「みなさんの声にこたえて」をテーマに、
2日間に渡り番組に寄せられた声を紹介しました。
それだけ多くの声が集まったということ自体、どう感じますか。

“がんを抱えてどう生きるか”という問題が共有されてきているなと、
広がりを感じました。
がんになったらあとは死に向かっていくだけという
イメージがなくなりつつある。
それも、実際にがんを抱えて生きている人たちから
なくなっているんだなと感じました。
それは“がんサバイバー”という言葉を使わない人にも、
サバイバーシップが確実に広がっている証だと思います。
まだまだ悩みや問題もあるし、
解決していかないといけないことも多いですが、
でも、まずはこうした悩みがあるよ、こうした問題があるよ、
と声を上げて提示できただけでも、番組の役割がひとつ果たせたと思います。



――思いを話せる場、意見を寄せる場があることが大事になる。

そうですね。
私も前は心の中に垣根をつくってしまっていて、
就労のことや終末期の不安などいろいろ問題を抱えていたにもかかわらず、
声を上げなかった。
問題を訴えていく立場ではないと自己規制してしまっていたんですね。
でも、そうした当事者の内なる垣根が取り払われたことは、
とても心強く感じます。



――ただ、番組に声を寄せてくれた人は一部でもあると思います。
まだその垣根がある人は、これからどう考えて、
進んでいけばよいのでしょうか。

私は状況の許す限り、がんのことをふせておかないで、
自然の流れで人に話し、
がんでも普通に暮らしている実例として、自分の暮らしぶりや生き方を
多くの人に見てもらうことがいいと思います。
それが理解を広げる第一歩になるのではないかなと。

番組を見ても、みんながみんな社会を変えるための行動を
今すぐ起こそうという気持ちにはならなかもしれません、
それよりは普通の暮らしがたいせつ、と思う人もいるでしょう。
でも、ここで“がんサバイバー”という言葉を出したのは、
まさしく「がんになっても普通の暮らしをしたい」という
思いを伝えるためなので、
目指すところに違いはないと思います。


――第5回の放送では、四国・松山で行われている、
がん患者のお子さんの心をケアをする
「チャイルドケアプロジェクト」を紹介しました。

素晴らしいプロジェクトですよね。
ああいった取り組みは、回り回って、医療者にも良い利益になると思うんです。
子どもにもわかるように伝えたり、疑問に答えることで、
コミュニケーションのトレーニングになる。
病院と地域とがよい関係を築くことにもつながる。
ぜひ広がって欲しいと思います。


――「シリーズ がんサバイバーの時代」5回の放送を通して、
改めてどのようなことを感じましたか。

がんに対する固定観念はまだまだ社会にあって、
それに阻まれて見えなくなっている問題もあります。
でもそうした固定観念を外して見ていくことで、職場でも、家庭でも、
自分らしく生きていく道が開けるようになるということを、改めて感じました。

シリーズ がんサバイバーの時代
第1回 自分らしく今を生きる
2013年9月2日(月)再放送9月9日(月)

第2回 がんを抱えて“働く”
2013年9月3日(火)再放送9月10日(火)

第3回 人生を生き切るために
2013年9月4日(水)再放送9月11日(水)

第4回 みなさんの声にこたえて(1)
2013年9月23日(月)再放送9月30日(月)

第5回 みなさんの声にこたえて(2)
2013年9月24日(火)再放送10月1日(火)

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