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7/1(月)放送 462万人~自宅で暮らしたいけれど~を取材して

2013年07月02日(火)

「シリーズ認知症」1回目の放送を担当しましたディレクターIです。

今回は「現状編」ということで、
取材は、認知症のご本人や介護されている家族に、
とにかく話を聞くことから始まりました。
 

結論から言うと、
その話を聞いたお一人お一人に、それぞれ困っている状況が異なります。

同居しているのか?子どもは何人いるのか?
介護者の仕事は忙しいのか?認知症の症状はどの程度なのか?・・・

挙げればきりがありません。

今回、強く感じたのは、認知症の症状は、計算できないものが大きいこと、
そして、認知症は、24時間、認知症という症状と向き合っていて、
介護する側に、多大な不安と負担を与えているということです。


言葉は不適切かもしれませんが、介護者は、
「得体も知れないものと向き合っている」という感じです。
 

しかし、そんなことを考えていると、ふと、
“介護者目線”に寄りすぎている自分を感じたりもしました。
どうしても「認知症の現状」を、「介護者の苦悩」という
一方向でしか見れていないことに気づいたのです。
そういえば、認知症の方々の「思い」を聞くことを、
「無理だよな」と決めつけ、取材できていないなと。
でも、当事者に話を聞いても、なかなか、
どれが本当の思いなのか、かみ合わない会話の中で、
認知症の方の思いを理解することは、
症状が進んでいればいるほど容易なことではありませんでした。


そこで、次に「もし自分だったら?」という発想に移りました。
すると、嘘のように、
介護者目線見ていた自分自身の考えが、受け入れられないのです。
「同じ人間なのに、介護者、当事者と、
立場を変えて考えるだけで、捉え方が違ってくる」
認知症に向き合うことの難しさを痛感した瞬間でもありました。


先月、厚生労働省の研究班が
「認知症高齢者が462万人いる」という推計値を発表しました。

冒頭でも言いましたが、認知症の困っている状況は、
そのご家族ごとに千差万別です。
認知症のご本人の思いも、いろいろあるでしょう。

今回、取材に応じていただいた方々の状況も、1ケースに過ぎませんが、
それぞれに、困難にぶち当たり、日々、向き合っておられます。
そんなケースが、日本全国に、大勢いらっしゃって、
それを、本気で改善していくためには、どうしたらいいのか?

考えていくきっかけになればと思います。


ちなみに、シリーズの2日目以降では、
適切なケアがあれば、そもそも、
私が上述したような「困った状況」にならないそうなのです。
そうした取り組みを、2日目、3日目の放送では、お伝えするようです。
お楽しみに。

最後に、今回、いろんな葛藤の末、撮影に応じていただいた方々、
また、撮影には応じていただけなかったものの、
胸の内をお聞かせいただいた方々に、
心から感謝いたします。


◎番組スケジュールは(本放送=夜8時、再放送=午後1時5分)

第1回 462万人 ~自宅で暮らしたいけれど~
→本放送:7月1日(月)、再放送:7月8日(月)


第2回 “在宅”を支えるケア ~オランダからの報告~
→本放送:7月2日(火)、再放送:7月9日(火)


第3回 検証・オレンジプラン ~在宅支援の最前線~
→本放送:7月3日(水)、再放送:7月10日(水)


第4回 自分らしく生きよう ―アニメ映画「しわ」が描く当事者の世界―
→本放送:7月15日(月)、再放送:7月22日(月)


第5回 “わたし”から始まる町づくり
→本放送:7月25日(木)、再放送:8月1日(木) 

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