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【取材レポート】多様なセクシュアリティーの人たちが暮らす"日本初のシェアハウス"

2013年05月20日(月)

6月の特集シリーズ「多様な“性”と生きている」
制作チームは現在、手分けをして各地の取材に飛び回ったり、
撮影したVTRを編集している真っ最中です。
今回は、その中から取材の様子の一部をご紹介します!

20130520_LGBT_001.JPG
シェアハウス「カラフルハウス」の玄関には、壁一面の黒板が。
入居者同士の伝言板として使えるようにと作られたものです。



(以下、ディレクターTの取材コメントです)

私がお邪魔させていただいたのは東京都内にある「カラフルハウス」。
セクシュアルマイノリティーの人たちが暮らしやすいことを掲げた、
日本初のシェアハウスです。
入居者は13人。多くは20~30代で、社会人として仕事を持っている人たちです。
セクシュアリティーは、ゲイ、レズビアン、
トランスジェンダー、ストレート(異性愛者)などさまざま。
そんなメンバーが、一つ屋根の下で共同生活を送っています。
 


「カラフルハウス」を、不動産会社と共に企画・運営しているのが、
NPO法人「グッド・エイジング・エールズ」。
セクシュアルマイノリティーの人たちが
「自分らしく、すてきに、歳を重ねていける社会」を目指して、
3年前にスタートしたNPOです。

「グッド・エイジング・エールズ」が活動を始めた背景には、
セクシュアルマイノリティーが将来のライフプランを描きにくいことへの
不安があったといいます。
現在の制度上、同性同士の結婚ができないなど、
社会でも孤立しがちなセクシュアルマイノリティーの当事者たち。
たとえば、老後の暮らし方をどうしていくのか…

そうした中、NPOのメンバーたちは知恵を出し合い、
セクシュアルマイノリティーの人に役立つ介護ワークショップ、
マネープランの勉強会など、さまざまな取り組みを行ってきました。

さらに、彼らが大切にしてきたのが、そうした取り組みを
あらゆるセクシュアリティーの人に開かれたものにしてきたこと。
セクシュアルマイノリティーとそうでない人が、お互いを知り合い、
つながりを持ち、セクシュアルマイノリティーの存在が「見える」場所を
作ろうとしてきたのです。
そんなグッド・エイジング・エールズが、
今年4月に始めた新たな取り組みが、この「カラフルハウス」なのです。


まずリビングに入ると連絡帳があり、
入居者たちがそれぞれの自己紹介を書き込んでいて、
そこにはごく自然にセクシュアリティーも記されていました。
多様な“性”を前提としたこのシェアハウスでは、
自分のセクシュアリティーを隠す必要がないのだそうです。

20130520_LGBT_002.JPG

実際にお邪魔してみると、入居者のみなさんは(当たり前ですが)
ことさらにセクシュアリティーのことを話題にしているようすはありません。
お互いの仕事の話や趣味の話、生活上の困ったことなどを、
ごく普通に話し合っていました。


「“セクシュアリティー”で相手と付き合っているわけじゃない。
だけど、ここではセクシュアリティーのことを隠さなくていいから、
とても楽。」


残念ながら、今の日本では
セクシュアルマイノリティーの存在がなかなか見えず、
そのため、「自分とは縁遠い人」「得体の知れない人」と
感じている人も多くいるのが現実です。

しかし、電通ダイバーシティ・ラボの2012年の調査によれば、
実際には人口の5.2%にあたる人が
セクシュアルマイノリティーだといわれています。
20人に1人程度というこの数字は、たとえば学校の教室や職場の仲間として、
ともに暮らしているということを示しています。


セクシュアルマイノリティーの人たちが「見えない存在」ではない社会。
あらゆるセクシュアリティーの人が、地域の中で自分らしく生活し、
すてきに年を重ねていける社会。
そんな社会を作るために一人一人ができることは何か、
番組をとおして、みなさんと一緒に考えていきたいと思っています。

 

【参考情報】
NPO法人グッド・エイジング・エールズのホームページ
 ※別ウィンドウ:クリックするとNHKのサイトを離れます


【放送予定】
(Eテレ)ハートネットTV 6月のシリーズ「多様な“性”と生きている」
※以下すべて夜8時から放送。再放送は翌週の同じ曜日、午後1時5分〜

6月3日(月)
  第1回「セクシュアルマイノリティーの子どもたち~現状~」
6月4日(火)
  第2回「セクシュアルマイノリティーの子どもたち~成長を支える~」
6月5日(水)
  第3回「自分らしく暮らす~新しい住まいのカタチ~」
6月17日(月)
  第4回「マツコ・デラックス “生きる”を語る」
6月27日(木)
  第5回「WEBの“声”に応えて」

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