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強い意志はどこから

2013年10月09日(水)

今月4日、仙台市の宮城県立視覚支援学校で、
「全国盲学校弁論大会全国大会」が開かれ、
私も熱弁を聞きに行ってきました。
内容だけでなく、その話し方や表現力なども評価の対象。
逆境にありながらも、前に向かって進もうとする精神力に圧倒されました。

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校門前看板

※「全国盲学校弁論大会全国大会」の模様は、
10月16日(水)と17日(木)に「ハートネットTV」で放送します。


14歳から59歳までの9人の弁士が発表しました。
私が印象に残った3人の内容を少しだけ・・・。


●堂々と胸を張り、終始笑顔で語ってくれた16歳男子。
その笑顔は決して表面的なものでなく、心からのものでした。

中学まで野球部主将。
3年のときに視力が低下し、大好きな野球ができなくなった。
仲間が「とりあえず笑え!」と言ってくれたが、内心「笑えねぇよ」と反発。
一方で、落ち込んでいる自分が情けないとも思っていた。
これからいいことがたくさんあるさ。
みんなの笑顔が自分を救ってくれた。つらいとき、苦しいときこそ笑え!



●小さい身体ながらも大きな声で感謝の気持ちを伝えた、15歳女子。

3歳で、病のために急に視力低下。幼稚園では、男の子から言葉の暴力を受けた。
“やり返せばいい”、これが自分にとって普通だった。
小学校でも“やり返して”いた。これが唯一自分を守る方法。
本当はこんなことをしたくなかった。泣いた。
そんな中、全盲の男の子が1学年下に入学。
彼は握手で手を離そうとしなかった。手が温かかった。
こんな自分でも受け入れてくれる人がいた。自分の心が解けた。
そのときから、周りにも優しくできるようになった。



●自分自身へのメッセージにも受け取れた、15歳女子。
自分の内なる変化を発表しました。

中2のとき、杖を使うことが恐かった。
「目が見えないって思われて、みんな自分から離れていくのでは?」
そんな時、スーパーで白い杖を使う。
でも、思いの外、周りの人から「手伝いましょうか?」という声が。
心が温かくなった。
自分自身で自分の障害への偏見があった。決めつけていた。
人は支え合える、助け合える。

自分で一歩踏み出してみると、世の中変わるかも知れない。
白杖が、今では大切なパートナーだ。


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凝縮した思いを7分間で紡ぐ弁士のみなさん


みなさんの発表でほぼ共通していたのは、
目が見えなくなるショックから前を向いて歩こうと思ったきっかけが、
“周りの支え”だったこと。
その支えがどんなに心強かったことか。
そして皆さん、自分のために生きるだけでなく、
他人(ひと)に影響を与えたり役立ったりしながら生きていきたい、
という心境に達していました。


「人は一人では生きていけない」
あらためて実感しました。
人生、前に向かう気持ちは、自分では気づきにくいが、
周りの人にも支えられている。

障害があってもなくても。感謝の気持ちを持って、前へ。


◎放送予定
第82回全国盲学校弁論大会(1)

本放送=10/16(水)夜8時
再放送=10/23(水)午後1時5分

第82回全国盲学校弁論大会(2)
本放送=10/17(木)夜8時
再放送=10/24(木)午後1時5分

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