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2021年11月1日(月)

コロナ禍の政治決戦
~衆院選 有権者の判断は 若者は~

コロナ禍の政治決戦 ~衆院選 有権者の判断は 若者は~

4年ぶりの政治決戦となる衆議院選挙。番組ではコロナ対策が大きな争点となった与野党の激戦区を密着取材。長引くコロナ禍で地域経済が疲弊する中、選挙戦で浮き彫りになった民意とは?そしてコロナで大きな影響を受けた若者たちの間で、新たな政治参加の形が模索されている。若者たちの意識の変化に政治はどう向き合うのか?コロナ後の社会を見据えて政治の役割が改めて問われる中、いま政治に何が求められているのか。選挙戦の現場から考える。

※放送から1週間は「見逃し配信」がご覧になれます。こちらから

出演者

  • 伊藤 雅之 (NHK解説副委員長)
  • 室橋 祐貴さん (日本若者協議会代表理事)
  • 井上 裕貴 (アナウンサー) 、 保里 小百合 (アナウンサー)

コロナ禍の政治決戦 与野党"激戦区"で何が

与野党の激戦区の1つとなった、岡山4区で立候補した自民党の橋本岳さんです。

自民党(岡山4区)橋本岳さん
「必勝が消えかけている。やばい、よくない」

父、橋本龍太郎元総理大臣の地盤を継いで、5回目の当選を目指した橋本さん。しかし、野党候補が一本化された今回、強い危機感を持って臨みました。

自民党(岡山4区)橋本岳さん
「先代から変わらずにご支援ご指導いただき、心から御礼申し上げます」

コロナ禍で厚生労働副大臣を務めた実績をアピールした、橋本さん。新型コロナの感染状況が落ち着く中で、選挙情勢にもいい影響が出ることを期待していました。

橋本岳さん
「いろんな政策的なことを実行してきて、成果を上げてきたということもあります。ワクチンの接種なんかも進んでくるし、医薬品もできていくし、一緒にがんばりましょうと」

さらに、自民党総裁選挙が注目され、党の顔がかわったこともプラスに働くと考えていました。ところが。

コロナ禍が2年近くに及ぶ中、長年の支持者の間には想像を超えて不満がうっせきしていました。

医師
「岳先生も副大臣で中枢におられたわけですけど、国民への説明が弱かったかなと思う」

この夏、岡山県内でも医療体制がひっ迫。コロナ対応に当たっている医師からは、厳しい声が上がりました。

医師
「平時から、いろんな法整備とかできるようにしてほしいよね」

橋本岳さん
「すいません。本当に手探りだったので」

高齢者介護施設長
「コロナの予防に対するいろいろな補助制度とか支援を、できればずっと継続してやってほしかった」

また、岸田内閣になって支持率は好転しても、地元で期待の声は多くは聞かれませんでした。

「看板は変わったけど、中身は1つも変わっていないと思います」

「見ていると変わらない感じですよね。誰がなっても変わらない」

確かな手応えがないままに迎えた、選挙戦中盤。自民党本部から、檄文が届きました。

橋本陣営 幹部
「党本部からも『急告』ということで、連日横一線ということで報道が流れてます」

"全国各地で多くの我が党の候補者が当落を争う、極めて緊迫した状況にある"

橋本陣営 幹部
「各種団体の訪問も、これから増えていくと思うので、1票でも多く声がけをしてもらえるような態勢を作っていきたい」

橋本岳さん
「国民の皆様のご不満が高まったというのは、これはその通りだし、どれだけたくさんの方に自分の思いをお伝えしたり、あるいは投票に行ってくださいねとお願いしたり、それをやりきれるかどうか、やり抜けるかどうかが勝敗の鍵です」

候補を一本化した野党の戦いは

一方、候補の一本化を進めた野党側。

立憲民主党(宮城1区) 岡本あき子さん
「ポスターの1番を貼りました。気合い十分でがんばります」

宮城1区に立候補した、立憲民主党の岡本あき子さんです。前回は2万票余りの差で自民党に敗れ、比例で復活。今回は、雪辱を期す戦いでした。

街頭演説
「日本共産党、街頭演説会を開催します」

この日は、連携した共産党の街頭演説に参加。

共産党 志位和夫委員長
「これまでのどの選挙にもまして、燃えに燃えております」

陣営では、共産党支持者の票を上乗せすれば、自民党との差を詰められると考えていました。

取材班
「共産党との距離が近づくことへの批判の声もあると思いますが?」

岡本あき子さん
「私は共産主義国家を目指しているわけではないので。小異を捨てて、大同につく。とにかく今の自公政権に対じをする、力をつける。その1点で結集ができているんだと思います」

当初は、政府のコロナ対策に対する批判票の受け皿として手応えを感じていた、岡本さん。しかし、感染者数が急速に減る中、とりわけ勝敗の鍵と考えていた無党派層の間で、選挙への関心が変化している状況に直面しました。

岡本あき子さん
「一定程度感染者が収まってきているのは本当に喜ばしいことなので、それは素直に喜びたいと思っています。ただ一方で、今までコロナに対する不満とか、不安とか、それが選挙の動機だったりしていた部分も一定程度あったのかなと、そこの部分が薄れてきたのではないか」

こうした中、岡本さんはより暮らしに身近な経済政策を強調。

岡本あき子さん
「家計をまず潤して、そして経済を成長させる。分配が先にある。コロナのあとだからこそ、今地域で使えるお金を増やすために、消費税の減額にも踏み込んでいます」

さらに、インターネットでのライブ配信も。視聴者からの質問に答えながら、みずから力を入れてきた子育て政策について話しました。

配信から2日、再生回数は、およそ270でした。

岡本あき子さん
「初めてのことですので、試す価値があったという意味では受け止めています」

この日は、子育て支援を行う女性たちとの対話集会に参加。

岡本あき子さん
「今まで子どもに関しての予算って非常に諸外国に比べて少なかったので、せめて倍、確保したい」

ただ、参加者からは、党の政策の実行力に不安の声も聞かれました。

対話集会の参加者
「現実に実際できるのかというところは、なかなか難しい問題なんだろうなと」

対話集会の参加者
「震災のとき(政権が)立憲民主だったじゃないですか、名前は違うけれども。やっぱりあのときに混乱をしてしまったんです、私たちも。ちょっと不安はなくはないかなって気はしています」

選挙戦を通じて、無党派層への働きかけを探り続けた岡本さん。住宅街での演説も繰り返しました。

岡本あき子さん
「アプローチというと、正直模索しています。今の時代どういう方が無党派なのかも、新たな時代の流れで年代もかなりバラバラなんだと思います。どれが正解か分からないなかで、やれることをやるしかない」

激戦区 自民党は組織戦を展開

野党の追い上げに危機感を強めていた、自民党の橋本さん。まず協力を仰いだのは、連立与党の公明党でした。非公開で開かれた、自民党と公明党合同の総決起大会。公明党の比例候補とともに、支持を呼びかけました。

公明党(比例中国ブロック)平林晃さん
「大黒柱である自民党、そして小さな声を聴く公明党。これが力を合わせる自公連立政権しかないと思いますが、みなさまいかがでしょうか」

自民党(岡山4区)橋本岳さん
「小選挙区は橋本岳で、比例代表は公明党で、このことを1人でも多くの方に訴え抜いてまいります」

さらに、重点的に回ったのは企業や業界団体でした。

橋本岳さん
「ほんなら、書いて書いて。ええよ」

橋本岳さん
「鮨(すし)組合さんですね」

長年、自民党を支持してきた飲食や美容師の組合。そして、製薬企業などのいわゆる、組織票固めに奔走しました。

接戦の末、橋本さんは議席を守りました。一方、宮城1区の岡本さんは立憲民主党が苦戦を強いられる中、今回も選挙区では及ばず、比例での復活当選でした。

コロナ禍の政治決戦 与野党は?有権者の審判は?

井上:この選挙で、民意はどう示されたのか。選挙取材が専門の、伊藤雅之解説副委員長とお伝えします。伊藤さん、大物議員が選挙区で議席を失ったり、また票が伸びなかったりという結果が与野党ともにありましたけれども、今回の選挙結果をどう見ていますか。

伊藤 雅之(NHK解説副委員長):ベテランが苦戦したというのが、今回の選挙の大きな特徴だと思います。自民党は議席を減らしたものの、安定した議会運営ができる、絶対安定多数は維持していると。しかし、小選挙区で議席を確保できなかった甘利幹事長が辞任することになるなど、勝利感がないというところですよね。一方で立憲民主党を見てみますと、候補者の一本化でその効果に期待が大きかっただけに議席を減らしたショックも大きいですよね。執行部が責任問題に早急に対応を迫られる事態になっている。こちらは敗北感が漂っているというところですね。

井上:投票にあたっては、有権者はどんなことを1票に託したんだと思いますか。

伊藤:選挙の争点、例えばコロナ対策のこれまでと、そしてこれから。経済対策や社会保障など、さまざまありましたよね。有権者が投票先を判断する物差しの中に、ベテラン選手は交代だと。あるいは、人がかわらずに政治はかわるのだろうか、そういった意識はなかったのか。解散から投票まで短期決戦と言われましたけれども、議員の在任期間ということを考えてみますと、事実上任期満了の4年間とかわらないわけでしたよね。その間、有権者としっかり向き合ってきたかどうか。それが感じられなかった候補者への拒否感のようなものもあったのではないでしょうか。

保里:そうした中で、今回は維新が議席を増やすといった特徴も見られましたけれども、この第三極の躍進からはどんなことが読み取れるでしょうか。

伊藤:今回、立憲民主党などがおよそ7割の選挙区で候補者を一本化した。今の小選挙区比例代表並立制が導入されて25年になるんですが、候補者の数がいちばん少なかったんです。ですから有権者にとってみますと、選択の幅が狭まったということがいえると思います。争点がさまざまな中で、どちらの政権を選んでくださいと言われて有権者も判断に迷ったんだろうと思うんです。その場合に、必ずどちらでもないという人が出てきますよね。その受け皿となったのが、日本維新の会だったというふうに思いますね。ただ、それでもどの党にも期待できないと感じた方、そういった方が選挙に行かなかったのかもしれません。投票率が前回よりは上がったんですが、戦後3番目の低さにとどまったということは、そういったことが背景にありそうです。国民をまとめあげて政権を選んでもらう一方で、政治はしっかりと多様な国民の声を吸い上げて、選びがいのあるメニューを提示できているのか。それが問われた選挙だったように思いますね。

井上:こうした中、受け身ではなく行動へと動き出したのが若者たちです。政治にみずからの声を直接届けようという、新たな模索が始まっています。

「政治を変えたい」若者たちの模索

コロナ禍、若者たちは政治が自分の生活とつながっていることを肌で感じてきました。

大学2年生
「いま大学2年生なんですけどオンラインで、それで(大学の)設備費用が変わらないのはどうなんだろうな」

大学1年生
「飲食店でバイトしているけど、12時半まで働けるはずが全然稼げなかった。もうちょっと若者を見てほしいと思います」

そんな若い世代が声を上げる場となっているのが、オンライン署名です。注目されたのが、東京オリンピック直前。組織委員会会長の女性蔑視と取れる発言への、抗議署名。

20代の女性グループが立ち上げると、15万人から署名が寄せられ、世の中を動かす手段として広がりました。さらに生理の貧困や、同性婚、校則問題など、署名活動の数はコロナ禍の前の2.5倍に。選挙への関心にもつながっているといいます。

難民問題について署名活動を行う(19)
「難民認定率がとても低くて、難民のことに関心の高い議員さんを選びたい」

子どもの権利教育について署名活動を行う(21)
「ひとりひとりの声はすごく大事なんだとこの署名で実感したので、選挙への意識は結構変わったかなと」

政治家と若者 問題意識に"溝"も?

一方で、若い世代の問題意識は政治家たちに十分届いていないと考える若者もいます。

公示直前。この団体では、自分たちの世代が重視する課題を、国会議員に直接問う討論会を企画しました。

大学1年生
「充実した性教育を受けたい。充実した性教育を受ける権利があるという声が、若者の中で大きくなっています」

国民民主党 伊藤孝恵副代表
「生理を起点にした、それを伝える生理教育だとか」

大学2年生
「大学教育の質に関して、今後どうやって取り組んでいくか?」

日本維新の会 音喜多駿 参院議員
「大学改革にも市場原理を使うべきだと思います」

しかし、日程の調整がつかなかったとして、自民党と立憲民主党は参加を見送りました。

日本若者協議会 代表理事 室橋祐貴さん
「(選挙が早まり)スケジュールを組みにくいので、どうしてもしかたない部分もある一方で、やっぱりここに出てこないというのは(若者は)その程度の重要度って扱いだと思うので。若い人たちが若者政策を重視して投票していくことが、政治家が若者のほうを向く大きなきっかけになると思う」

若者がみた選挙戦 "もっと新しい接点を"

政治と若者との距離を縮めたいと、今回選挙に関わった人がいます。大学2年の寺岡陽奈(ひな)さんです。SNSを通じて政治家のインターンの募集を知り、参加しました。

寺岡陽奈さん
「『もっとここをこうしたらいいのに』とか思うのが多くて、元をたどれば政治なのかなって思って。(政治を)中から知るために行こうと思いました」

立憲民主党・中谷一馬さんの陣営には、大学生や高校生など、40人が集まりました。

立憲民主党(神奈川7区)中谷一馬さん
「どうすれば(若者に)届けられるのか、皆さんに知恵を貸して頂いて、よかったら助けてください」

「河野太郎、前大臣です」

一騎打ちの相手、自民党の鈴木馨祐さんには、党の有力議員が応援に駆けつけ、若い聴衆をひきつけていました。

「このあと、菅さん(前首相)来るらしい」

寺岡陽奈さん
「やってくれるな。中谷さんはすごい話も筋が通ってるから、聞きやすいし、だけど(知ってもらう)きっかけがないよね、あんまり」

どうすれば若い世代と政治との接点を作れるか。

「急ピッチでやりたい。インスタライブは」

寺岡陽奈さん
「これ着ちゃったら染まるじゃん、政党色に。それはおじさんだけでいいじゃん」

「一致団結してる感がでるじゃん」

寺岡陽奈さん
「そしたら近寄りがたいじゃん」

「たしかに」

まずは、SNSのライブ配信から実践することにしました。

「ただいま、センター南駅で駅頭中でございます」

選挙を身近に感じてもらおうと、若者の目線で実況。

「ただいま、スタッフさんの希実さんがきてくださいました。かわいい」

選挙戦最終日に応援に来たのは、枝野代表。臆せず動きます。

「さあ、どんどん質問ぶつけていくよ」

「学生ボランティアです」

立憲民主党 枝野幸男代表
「はい、頑張って、頼むよ」

「ひとつ質問していいですか?若い世代に何を伝えたいですか?」

立憲民主党 枝野幸男代表
「まだこの国には未来がある。いま変われば未来がある。だから一緒に変えよう。頑張ろう」

寺岡陽奈さん
「偏見だけど、若い人って政治家はみんな年寄り向けの政治しかしてないって思ってて。若い人たちも視野に入れているんだと、政治家の人たちから発信してほしいなと思って」

中谷さんは、選挙区では僅差で敗れたものの、比例で復活当選。初めて選挙を体験した寺岡さん。これからも政治と若者をつないでいきたいと考えています。

寺岡陽奈さん
「今までのやり方で今までの勝ち方をしてても、今までの政治と一緒だと思うので、やっぱり新しいことを始める人が必要で、そういう人が生まれてほしいし、そういう人に自分もなりたいなと思います」

政治を変えたい 若者たちの新たな模索

井上:若者の政治参加を巡る、新たな動き。詳しい記事は、以下のリンクからご覧いただけます。

VTRでもご紹介しました、日本若者協議会代表理事の室橋祐貴さんに加わっていただきます。よろしくお願いします。

保里:室橋さんはこれまで若者の声を政治に反映させるという活動を行ってこられましたが、投票行動はもちろんのこと、若者がさまざまな形で政治に参加するということは私たちの将来にとってどんな意味があるものだと考えていますか。

室橋 祐貴さん (日本若者協議会 代表理事)

室橋さん:やはりまず若者が置かれている環境というのが上の世代と違って、例えば身近な学費の問題とかもここ30年ほどで1.5倍ぐらい学費が上がっていたり、あとジェンダーへの価値観だったりとか。あとは気候変動対策というのも高齢者の方々からするとなかなか目の前の当事者性というのはないと思うのですが、若者からすると20年後って自分たちの未来としてリアルなので、気候変動対策に対しての当時者性というのも非常に上の世代と違っています。そういった価値観の違いだったりとか、自分たちとは違う考え、高齢世代とは違う考え方を政治に反映させていくというのは非常に重要だと思っています。

井上:押しつけだったり、変な盛り上げにならない形の若い世代の関心の高め方はどうなっていったらいいと思いますか。

室橋さん:若者といっても別にそんなに特別視しなくて、いち対等な立場でまず扱っていって、若者自体も何も考えを持ってないということはなくて、身近なことで困っていたりとか、いろんな政治的な考えを持っている人は意外と多いです。その人たちと実際に対話していって、政治家側も実際に若い人たちがどういう課題を抱えているのか、ちゃんとそこを発見していくという政治家側の姿勢も重要なのかなと思っています。

保里:選挙というとさまざま争点はありますけれども、自分の生活に身近なところからまず見ていくということもできますよね。

室橋さん:これまで選挙というと憲法改正だったりとか、人口減少だったりと、どちらかというと大きな話を争点にしがちなんですけど、労働環境だったりとか、ジェンダーの問題だったりとか、先ほどのVTRでもあったように生理の貧困だったりとか、あとは校則の話だったりとか。身近な課題というのも政治と関わっていて、実際にそれをかえる手段というのが投票だけではなくてオンライン署名だったりとか、政策提言とか、いろんな形でかえる手段というのがあって、そういうのを使って実際に若者も参加していくと。実際にかえるケースというのもどんどん生まれているので、もっと多くの若者がそういった形で参加してほしいなと思っています。

保里:衆議院選挙は投開票を終えましたけれども、今後、私たちが若者も含めて自分たちの未来を自分で選びとっていくためにどうしていくことが大事だと考えていますか。

室橋さん:やはり政治家はすごい偉い人たちで勝手に4年間やってくれて、それで自分たちはお客さんのように投票になったらまた選ぶという形ではなくて、4年間政治家と一緒につきあいながら実際に要望を適切に伝えていって、自分たちが求めている課題というのを政治家に4年間で動いてもらう。4年間をお客さんの視点で見るのではなくて、政治家と一緒になって課題解決に動いていくというのが重要なのかなと思っています。

保里:そういう意味でいうと、ここが区切りではなくてスタートともいえますね。

室橋さん:まさにおっしゃるとおりで、やはり主権者というのは基本的には有権者じゃない子どもたちも含めて、選挙期間だけではなくてこの4年間ずっと主権者であって、民主主義というのはみんなで常に作っている社会なので常に動いていく、関心を持っていくというのが重要なのかなと。

井上:この世代でなかなか政治の話はしないですけれども、そういうもどかしさというのはありますか。

室橋さん:海外とかだと学校の中で身近な政治の話だったりとか、あとは町の中でも選挙小屋という形で文化祭みたいにいろんな小屋がたって、そこでコーヒーを飲みながら政治家の人と話したりとか、いろんな会話をするシーンというのがたくさんあるんです。日本だとなかなか学校の場だったりとか、そういう町なかで政治の会話をする機会がないので、もっとそういった機会が作られていくと政治家はもっと身近に感じて、政治に参加するというハードルも下がっていくのかなと思っています。

井上:伊藤さんはその辺どう感じますか。

伊藤:選挙ということに関して言いますと、選挙は有権者が選ぶというものですけれども、同時に投票行動によって政党や政治家をかえていくと。ときには厳しい審判をして鍛えて育てていく、そういう意味もあるのではないかと思うんです。そうすると、来年の夏、参議院選挙がありますよね。そのときまで自分たちが選んだ政治家が何をしたのか。あるいは何をしなかったのか。また、政治がその間に何を見せてくれるのか、その姿勢が問われることになると思います。

井上:本当に一夜のドラマもいいですけれども、確かな変化というのは見てみたいですよね。

室橋さん:そうですね。

井上:ありがとうございました。


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