ヨーロッパ最大手の自動車メーカー、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)が、排ガス規制を逃れるため、ディーゼル車に不正なソフトウエアを搭載し、最大で基準の40倍にも上る窒素酸化物を排出していた問題が発覚して1か月。名門企業がなぜ不正に手を染めたのか、その実態が少しずつ明らかになってきた。会社の内部調査からは、不正が組織的に行われていたことが報告され、不正をやめる機会が何度もあったにもかかわらず、見過ごされてきたことがわかってきた。背景には、販売世界一を目指すVWが、売り上げが伸び悩むアメリカ市場での拡大を目指そうという焦りがあったとの指摘もある。また今回の不正をきっかけに、自動車の排ガス規制や検査のあり方も問われている。欧米のNPOが当局の基準をクリアしたディーゼル車15車種を実際に道路で走行させたところ、基準値内におさまったのはわずか1車種。これまで室内でのみ行われてきた検査には限界があるとして、実際の道路での走行検査を導入する動きが加速している。世界的企業による不正がなぜ起きたのか、実態に迫るとともに、次世代エコカーの行方について考える。
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