福島県双葉町に、イギリスのウィリアム王子など世界中の人たちが強い関心を示し、復活を切望するバラ園がある。7000株ものバラが咲き乱れ、“日本で最も個性的で美しい”と称賛された「双葉ばら園」だ。地元の岡田勝秀さん(71)の一家が40年以上かけて築いたが、原発事故で荒れ野と化してしまった。ばら園は原発事故がもたらした悲劇の象徴として知れ渡り、再建を願う声は今も後を絶たない。しかし賠償手続きは難航。ばら園の価値をはかることは難しいというのだ。避難先の茨城県つくば市で茫然自失の日々を送っていた岡田さんを変えたのは被災者からの言葉だった。「失った暮らしがバラと重なる。だからこそ再び美しいバラを咲かせてほしい」。今年、岡田さんは養護施設で子供たちと一緒にバラを育て始めた。目を輝かせて取り組む子供たちの姿に力をもらっているという。岡田さんの姿から福島のいまを見つめ、取り返しのつかないものを失った人々に何が必要なのか、考える。
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