いま世界に、2030年には1000兆円規模にもなると言われる巨大市場が現れている。イスラム教徒を対象にした「ハラル」商品だ。「ハラル」とは、アラビア語で「許されたもの」を意味し、イスラム教の戒律に基づいて処分された肉や、「不浄なもの」とされる豚やアルコールを含まないものだ。ハラルは、食品だけでなく、化粧品、歯磨き粉、ワクチン、女性の下着にまで広がる。イスラム教徒が多くを占めるインドネシアやマレーシア、中東諸国などが著しい経済成長を遂げる中で、巨大市場としての可能性が急拡大しているのだ。日本企業も、この市場にチャンスを見いだし、「ハラル」商品の輸出に積極的に乗り出そうとしている。しかし、ハラルとしての認証を得るためには、原材料や生産ラインの衛生面に至るまで厳格な基準をクリアしなければならない。さらに、ハラルの認証は、世界的に統一されているわけではなく、国によって基準がまちまちで、それぞれに対応しなければならない難しさもある。番組では、インドネシア市場に進出した東京の味噌メーカーや、マレーシアで新たに設けられた物流分野のハラル認証に目をつけた日本の大手物流会社など、ハラル市場をめぐるビジネスの最前線を追い、その可能性と課題を描く。
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