「攻めの農林水産業」の柱として政府が掲げる農水産物の輸出倍増計画。日本農業の代名詞であるコメも、加工品を含めておよそ5倍増を目標にしている。しかし、今、輸出の最前線で日本米は苦戦を強いられている。高値の日本米を購入する富裕層の市場は小さく既に飽和状態。輸出拡大するためにはその下の中間層の市場を拓く必要があるが、そこはアメリカや中国産の低価格米に占められ、日本産米は入り込めないでいる。それにもかかわらず日本の産地は地域のトップ銘柄の輸出にこだわるなど、限られた富裕層市場のシェア争いに終始。全体のパイは増えないままだ。そんな中、富裕層だけではなく中間層もターゲットに、流通コストを徹底的に削減し、さらに現地で精米や自動炊飯器の提供で“品質”を上げる農機具メーカーが現れるなど、「うまくてリーズナブル」なコメを売り出す取り組みが始まっている。アジアで広がる日本食ブームを日本産米はうまく取り込めるか。日本米の輸出の実態を見据え、生産から販売まで来たる“日本米・輸出時代”の戦略を考える。
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