虚偽の自白を生み、えん罪の原因と批判されてきた警察・検察による密室での取り調べ。その反省から導入の検討が始まった取り調べの録音録画、いわゆる「可視化」の法制化を目指す国の審議会の議論がこう着状態に陥っている。取り調べの全過程を可視化すべきとする弁護士側と、録画範囲は取調官の裁量で決めたいとする捜査当局側が激しく対立しているのだ。一方、試験的に可視化を始めた取り調べの現場では、当初は想定されていなかった新たな事態が起きている。検察が逆手にとるかたちで、取り調べ映像を裁判で有罪立証するための証拠として使い始め、弁護士側は対処を迫られている。取り調べを適正化し、えん罪を防ぐための可視化とはどうあるべきか、当事者の証言を交えて検証する。
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