今、相手に告知することなく無断で会話や電話を記録する「秘密録音」が社会に急速に広がっている。ICレコーダーなど小型録音機の技術革新に伴い、職場内の会話、いじめ、家庭内DVや離婚協議、警察の取り調べなど様々なやりとりを、市民みずからが記録し証拠として活用し始めているのだ。ビジネスの現場でも、客との電話を録音する企業が急増、クレーム対応やトラブル防止に役立てている。現在の法律では、こうした秘密録音に対して明確な規定や制限はなく、最高裁の判例でも証拠能力が認められている。しかしその一方、録音データを改ざんして悪用したり、これまで暗黙の了解だった関係に“ヒビ”が入り信頼が損なわれたりするケースも相次いでいる。秘密録音はなぜこれほど広がり、我々の生活にどんな影響を及ぼしているのか、その現状と課題を描く。
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