先月、内戦中のシリアで銃弾に倒れたフリージャーナリスト・山本美香さん(享年45)。新聞記者だった父親の影響を受け、ジャーナリストを志し、16年にわたり紛争地を取材し続けた。600本を超える取材テープから見えてくるのは、戦場を取材しながら、徹底してそこで生きようとする市民にカメラを向けていたことだ。死の一週間前の映像にも、空爆を受けてなお、その地で暮らし続ける一家の食卓、破壊された戦車で遊ぶ子どもたちが記録されていた。一方、映像の行間からは、恐怖を必死にこらえながら戦場に向き合っていた一女性としての山本さん像も浮かび上がる。多くのジャーナリストが命を落とす戦場。中でもシリアは、市民が無差別に銃撃・爆撃され、その現実を伝えようとする報道人も狙われる最悪の戦場となっていた。そんな戦場に、山本さんは何を伝えようと向かったのか。残された映像や手記、証言をたよりに探っていく。
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