強権的なアサド政権と反政府勢力の内戦状態に陥った中東シリア。戦闘の停止を目指した国連の努力は完全に行き詰まり、停戦監視団は撤退を余儀なくされた。現地での取材からは、アサド政権の打倒を狙う湾岸周辺国などと、存続を目指すイランやレバノンのシーア派組織「ヒズボラ」がそれぞれ武器の供与などを通して関与を深め、シリアを舞台に“代理戦争”を行っている実態が明らかになってきた。欧米諸国はアサド大統領の即時退陣と民主的な政権の樹立を求めているが、将来の受け皿となるべき「シリア国民評議会」は内部対立に明け暮れ、今後の道筋をつけることがまったくできていない。周辺国での取材を通して、“イラク化”の様相を強めるシリアの最新情勢を伝える。
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