東日本大震災と原発事故は避難生活の長期化をもたらし、体調を崩して死亡する“震災関連死”が相次いでいる。中でも深刻なのが高齢者だ。福島県南相馬市の養護老人ホームの入居者たちは避難先を転々とする中、体調や認知症の症状が悪化する人が続出している。高齢者を支えるスタッフの家族も被災しており、先行きの見えない中で、不安な避難生活が続いている。高齢者たちにとって厳しい状況が続く中、被災しながらも生活再建に向けて歩み出した人たちがいる。津波に襲われ犠牲者も出た仙台市のある認知症グループホームでは、今、高齢者の日常を取り戻そうと模索が始まっている。グループホームが大事にしているのは一人一人の生き甲斐だ。一方的な支援でなく、料理や生け花など自分が今、本当にやりたいことを出来るように支援することで「あたりまえの日常」が蘇り始めている。被災した高齢者たちの現状と、当事者の目線に立って独自の支援に取り組む人々の活動を通して、安住の地を失った高齢者を救うために今、何が求められているのか、探っていく。
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